活況“電アシ”自転車市場、次の一手──ヤマハの新「スポーティPAS」に乗ってみた目指すは「ファミリー全員PAS」(1/3 ページ)

» 2014年07月17日 14時48分 公開
[岩城俊介,Business Media 誠]

 「電動アシスト自転車」が売れている。自転車産業協会の自転車生産動態・輸出入統計によると、約900万台規模となる国内向け自転車市場(生産数量と輸入数量の合計値)はここ数年やや減少している中で、電動アシスト自転車のカテゴリは2000年度(約15万台)より年率約8%で堅調に伸びている。2014年度は約50万台規模(生産数量)まで成長するとみられている。

photo 国内自転車市場がやや下がりつつある中、高額・高付加価値カテゴリの「電動アシスト自転車」市場は年率約8%で伸長。「2014年は特に好調。5月期は前年同月比で20%増だった。主婦層から、自転車ブーム、さらに通勤、通学、趣味など、電動アシスト車の需要が広がってきているのも追い風」(ヤマハ発動機PAS営業企画グループの石井謙司グループリーダー)

 国内の電動アシスト自転車は、ヤマハ発動機、ブリヂストン、パナソニックの3社で9割以上を占めるという(*)。2008年12月の「電動アシスト比率の規制緩和」、東日本大震災や健康ブーム、ガソリン価格の高騰など、自転車の有用性が見直されていることを背景に、シニア層や子育てママ層の高い需要に加え、高校生(通学)、通勤男性、独身女性、ミドル主婦といった層にも需要が広がっている。

(*ただし、統計数値として算出される自転車産業協会の統計のみの場合。統計未記録の海外メーカーなどを含むと、市場規模はより大きいと想定される)

 市場拡大のカギは、新規層獲得に向けた製品の拡充と年齢層別ニーズのカバー。自転車ブームの背景にはレーサータイプなどの趣味性の強いカテゴリの存在もあり、この層には電動アシストを不要とする意識はある。一方、そこまで本格的ではない、実用と徹底趣味の合間となる街乗りプラスαの用途はどうか。「通勤通学」「レジャー」の需要を満たす電動アシスト製品は意外となかった。ここに商機を見いだし、この層に向けた製品の拡充を各メーカーが取り組み始めている。

photo ヤマハ「PAS Brace XL」(参考展示のカスタム版)
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