小腹がすいた寒い冬の夕暮れ時。遠くから「石焼きいも〜♪」の声が聞こえてきました。それと同時に、道の反対側からは「チャララ〜ララ♪」と、おなじみのチャルメラの音。財布を持って立ち上がったあなた、どちらを選びますか?
今回は腎臓のがんの話です。腎臓は、腰のちょっと上の位置に左右1つずつある、ソラマメ形の臓器です。その主な役割は、血液をろ過して不要な成分を尿にすることです。この腎臓に出来るがんの1つが「腎細胞がん」。高齢者に多いがんで、日本では、がんで亡くなる人の100人に1人が腎細胞がんです。
腎細胞がんは特徴的な症状がなく、早期発見が難しいがんです。それにしては、日本人の腎細胞がんの死亡率はそれほど高くありません。その理由は、日本で腎細胞がんにかかる人の数が、英国を除く欧米諸国より低いからです。しかし、食の欧米化などに伴い、日本人の腎細胞がんは年々増加傾向にあります。
日本人にとっても腎細胞がんは他人事ではなく、国からは研究費が出ています。札幌医科大学の研究グループが「文部科学省科学研究費がん特定領域大規模コホート研究」を実施し、その結果が昨年、がんの予防分野の国際誌で報告されました。
40歳から79歳までの日本人、約11万人を対象とした調査結果で、腎細胞がんの危険因子として次の9つが挙げられました。
危険因子がたくさん挙がる一方で、予防因子として1種類の食べ物が挙げられました。
それはサトイモ、サツマイモ、ジャガイモなどの「イモ類」です。日本人は昔からイモ類を多く食べていたので腎細胞がんが少ないのかもしれない、ということです。
研究グループは「デンプンを含むイモ類は、伝統的な日本の食事習慣の代表で、これが腎細胞がんの予防因子である事は興味深い」と話しています。
ここで、もう一度聞きます。焼き芋とラーメン、あなたはどちらを選びますか?
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