第22鉄 駅マンションに新撰組――“情報の秘境”流山線をゆく:杉山淳一の +R Style(5/5 ページ)
上野駅から常磐線で約30分。流山線は、馬橋駅から流山までを結ぶ、わずか5.7kmのローカル鉄道だ。地元の名士によって作られたこの路線に乗って、新撰組ゆかりの地を歩いてみた。
そのまま歩いて新三郷へ あの「名車」に会いに行く
官軍は北から攻めてきたそうで、私も逃げるように南下した。流鉄に乗りに来たはずが、ここから武蔵野線の三郷駅が近い。ちょっと冷たい風に当たりながら、夕刻の江戸川を散歩する。道路橋から武蔵野線電車の風景をカメラで追った。イルミネーションで飾られた三郷駅から武蔵野線の電車に乗って、1つ隣の新三郷駅へ。目的は、ららぽーと新三郷というショッピングセンターにある鉄道車両「夢空間」だ。
「夢空間」はJR東日本が1989年に製造した豪華客車。寝台車「オロネ25 901」とラウンジカー「オハフ25 901」、食堂車「オシ25 901」の3両が作られて、上野−札幌間の「北斗星」に連結されたり、イベント列車に使われたり、団体列車としても活躍した。「日本でもオリエント急行のような列車旅を実現しよう」という試みで、インテリアには大手百貨店が参加したという。居心地の良い寝台車というコンセプトは、その後、豪華寝台特急「カシオペア」や「トワイライトエクスプレス」に影響を与えた。
新三郷にはラウンジカーと食堂車が離れた場所に置かれている。折しもクリスマス商戦期ということで、イルミネーションで飾られていた。日中は車内の見学もできるそうだが、残念ながら今日は到着が遅かった。またあらためて訪問したい。
今回の電車賃
流鉄流山線:馬橋−幸谷 120円、幸谷−小金城趾 120円、小金城趾−流山 130円。
JR武蔵野線:三郷−新三郷 130円。
著者プロフィール:杉山淳一
肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」
コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。
趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。
関連記事
- 「トラベル」インデックス
- 「杉山淳一の+R Style」
- 杉山淳一の +R Style:第21鉄 デジタルな汽車旅はいかが? 「A列車で行こう9」でお好みに
好きな列車を走らせたい、旅の舞台となる風景を作りたくなった――。そんな願いをかなえてくれるゲーム「A列車で行こう9」が、2010年1月に発売される。シリーズの最新作はどのような汽車旅を楽しませてくれるのだろうか。 - 杉山淳一の +R Style:第20鉄 晴れた日は紅葉と夜景を楽しむ――丹沢・大山観光電鉄
紅葉の時期、そして初詣&初日の出にオススメなのが大山ケーブルカー。登山客で賑わう丹沢へ、ケーブルカーと美しい景観を目的に出かける休日はどうだろう。 - 杉山淳一の +R Style:第19鉄 毎日走るミステリートレイン――快速むさしの
朝8時51分。大宮駅のホームから発車する古い電車に乗り込めば、あなたは約1時間不思議な体験をすることができる。地図にない線路を走り、地下を潜り――行き先は、八王子だ。 - 杉山淳一の +R Style:第18鉄 スハフ12形客車で行く紅葉の旅――わたらせ渓谷鐵道
- 杉山淳一の +R Style:第17鉄 新幹線よりスローでリッチ!? 近鉄アーバンライナー
- 杉山淳一の +R Style:第16鉄 かわいくてかっこ良くて便利な電車――富山ライトレール
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.