第28鉄 流氷を追って知床へ! ダルマストーブ列車でオホーツク海岸の旅:杉山淳一の +R Style(5/5 ページ)
2月中旬から3月初旬にかけて、北海道のオホーツク沿岸は流氷の季節だ。この季節しか走らない観光列車に乗って、流氷を見に行こう。実は道東エリアは、中国で大ヒットしたある映画のロケ地でもある。
知床斜里から50分の北浜駅で降りた。線路一本、ホームひとつの無人駅だ。駅舎は喫茶店になっているけれど本日は休業とのこと。北浜駅はオホーツク海に最も近い駅として観光名所になっていて、ドラマや映画にも登場しているそうだ。特に2008年に中国で制作、公開された映画『非誠勿擾』は当駅ほか道東地域でロケした作品で、中国では歴代興行成績1位のヒット作。日本でも『狙った恋の落とし方。』の名前で公開が決まり(参照リンク)、北海道で先行ロードショーが行われた。
なるほど、それで中国語を話すお客さんが多いのだ。昨日の流氷特急も今日の流氷ノロッコも楽しそうな中国人グループがいた。北海道の流氷は国際的な観光スポットになっているようだ。駅の案内看板も中国語とハングルを併記していた。
流氷ノロッコ号は北浜駅でしばらく停車する。駅舎の隣には丸太で組まれた展望台があって、そこから知床半島やオホーツク海を望める。海は薄氷で埋め尽くされており、その向こう、水平線近くには真っ白な帯。あれがきっと流氷の本隊だ。展望台は記念写真を撮る人々で賑わい、その後、ノロッコ乗務員の案内で列車に戻っていった。私は釧路行きを待つために北浜駅に残る。無人駅に静寂が戻った。展望台からの景色を独り占めし、しばらく流氷のパノラマを楽しんだ。
今回の電車賃
札幌−網走「流氷特急オホーツクの風」9840円(乗車券6610円 特急料金3230円)
網走−知床斜里 普通列車 (乗車券) 810円
知床斜里−北浜 「流氷ノロッコ号」830円(乗車券530円、指定席利用は+300円)
道外から北海道の鉄道を周遊するなら、「周遊きっぷ北海道ゾーン」などの利用がおトク。道内発なら「北海道フリーパス」(2万5500円 7日間有効)、「三連休おでかけパス」(1万8000円 三連休または飛び石連休の日のみ有効)
流氷観光砕氷船「おーろら号」3300円
著者プロフィール:杉山淳一
肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」
コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。
趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。
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