i-MiEVでカフェ? 電気自動車の新しい使い方:東京モーターショー2011
東京モーターショー2011の三菱自動車ブースでは、電気自動車「i-MiEV」「MINICAB-MiEV」を使って、ちょっと変わった展示が行われている。背景にあるのは、電力供給・利用に対する東日本大震災以来の意識変化だ。
東京モーターショー2011の三菱自動車ブースでは、ちょっと変わった展示が行われている。
東日本大震災の発生以来、「もし非常時になったら、どのように電気を確保するか?」「社会全体で使用電力量を抑えるには?」という問題意識は飛躍的に高まった。電気自動車(以下、EV)はいわば、巨大な走る充電池だ。電気が引けない場所で、EVを電源として利用できないか……それをモデルプランとして展示しているのが、EVの新しい使い方を提案する、「MiEVカフェ」「MiEVハウス」だ。
三菱自動車では2009年から軽自動車「i」をベースにしたEV「i-MiEV」を販売している(初めは自治体など法人のみ、2010年4月からは個人向けにも販売、参照記事)。MiEVハウスは、このi-MiEVを電源として使ったモデルルームだ。電力消費の少ない夜間にi-MiEVを充電し、照明や家電など家庭内で使う電気をi-MiEVから供給するようすを見せている。節電や電力ピークシフト、バックアップ電源としてEVを利用しよう……という提案である。
ちなみに三菱自動車では、IHIや米WiTricityと共同でEV用の非接触充電システムを開発中だ。例えば、送電装置を道路に埋め込めば、交差点での信号待ちの間に充電できるという。充電電力は3キロワット、ワイヤレス伝送距離は20センチ、送受信装置間の許容位置ずれは±20センチとのこと。MiEVハウスのデモも非接触充電をイメージしている。
ミニキャブ・ミーブを1500ワットの発電機代わりにしたカフェ
隣にあるのは、12月8日に発売する「MINICAB-MiEV」(ミニキャブ・ミーブ)を電源として用いるMiEVカフェだ。MINICAB-MiEVは三菱自動車のEVとしてはi-MiEVに次ぐ2モデル目。軽商用車「ミニキャブ バン」をベースにしたEVで、総電力量が異なる2種類のバッテリー「CD 10.5kWh」「CD 16.0kWh」を搭載した2モデルがあるが、会場では10.5キロワット時のバッテリーを搭載したモデルが展示されている。
MiEVカフェでは、MINICAB-MiEVの電源を使ってエスプレッソマシンを動かす様子を実演。実際にコーヒーなどをいれて来場者にふるまうデモを行っている。「例えば工事現場などで、EVに発電機を積んで現地に持っていき、そこで電気を作って使っている……というケースがあり、『商用EVを出店(の電源)に使いたい』という声はもともと聞いていた。東日本大震災が起こったことで、電源確保の必要性が増したという認識」(説明員)
MiEVカフェでは1500ワットまで給電できるという。MINICAB-MiEVの急速充電口に1500W電源供給装置(仮称)をつなぎ、バッテリーから取り出した直流の電気を交流に変換して家電製品に給電する。展示されている電源供給装置は試作品だが、2011年度以内に市販開始を目指しているそうだ。
現在同社のEVは給電のみしかできないが、ソフトウェアの書き換えによって放電できるようになるため、給電装置の発売以降、すでに稼働しているi-MiEVも無料でソフトウェアの書き換えを検討しているという。
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