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シニア層は「映画」をどう楽しんでいる?映画ウラ事情

あらゆるサービス産業がシニア層を意識している。もちろん、映画やAVレンタルなど、エンタテインメント系サービスも例外ではない。

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クランクイン!

「映画ウラ事情」とは:

総合エンタメサイト「クランクイン!」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、クランクイン!より転載しています)。


 現在、小売業、遊園地・テーマパーク、ホテル、住宅リフォームなど、あらゆるサービス産業がシニア層を意識している。もちろん、映画やAVレンタルなど、エンタテインメント系サービスも例外ではない。

 例えば、レンタル大手TSUTAYAでは、60歳以上限定で2012年7月13日〜8月12日までの1カ月間、旧作DVDのレンタルを毎日1本無料にするキャンペーンや、廃盤作品などの中から本当に面白い映画を復刻する「TSUTAYA発掘良品」の取り組みを行った結果、8月の60代以上のDVDレンタル利用者数が前年同期比で130%以上に拡大。

 また、映画では『ALWAYS 三丁目の夕日’64』『あなたへ』『わが母の記』といったシニアをターゲットにした作品がヒット、往年の名作をオリジナルニュープリントで上映する「午前十時の映画祭」の第3弾は、前半25週を終えた時点で観客動員18万超、累計興収は15億円に達した。

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『眺めのいい部屋』(C)1985 A ROOM WITH A VIEW PRODUCTIONS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

 そんな中、新たな上映企画「語り継ぎたい映画シリーズ」が注目を集めている。同企画は1960年代から1980年代を中心とした名作映画をスクリーンで楽しめるもので、各作品1000円均一。現在『アナザー・カントリー』と『眺めのいい部屋』の2作品が全国順次公開されている。

 「企画ごとに若干お客さまの層は違いますが、第1弾、第2弾の『いちご白書』『ひまわり』は60代、『アナザー・カントリー』『眺めのいい部屋』は50代くらいが中心になっています」と話してくれたのが、配給のアンプラグドの加藤武史代表。

「この年代は映画好きの方が多く、WOWOWなどで映画を見ていても、映画館で鑑賞することに対してプライオリティが高く、特別な思いを持たれています。また、当時の思い出とセットにし、本編を楽しんでいる。シニアならではの楽しみ方といえるでしょう」

 では、シニア独特の映画鑑賞傾向などはあるのだろうか。

「シニア層は多趣味な人が多く、1日のスケジュールを細かく立てている傾向にあります。そのため、映画を観て終わりではなく、映画鑑賞後に食事、そのあとにショッピングなど、きちんとプラン済。それ故、劇場は朝の時間帯がもっとも混み、夕方には終了といった感じでしょうか。また、反響が大きいのはテレビからの情報ですが、口コミもばかにできません。しかも、その口コミはTwitterやFacebookではなくリアルな口コミ、つまり実際の会話から広がっていくのです」

 そして、加藤さんはシニア層の映画鑑賞に、こういった期待を込める。

「シニア層は自分たちが調べて、映画を観ていた時代。そのため、映画に対して貪欲で、目の肥えている人が多い。また、昔は映画を指南してくれる映画評論家がいましたが、現在、そういう人はいません。その役割をシニア層に担ってもらいたいんです。別に、大々的にメディアに出て指南するのではなく、近しい人に伝えていってほしい」

 斜陽に入ったといわれる映画産業。だが、シニアの盛り上がりから光明が見出せそうだ。

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