トレンディドラマ時代の女優が、なぜ今カムバック? その背景を探る:映画ウラ事情
やっぱり芸能界が忘れられないなど、カムバックにはさまざまな理由があるだろう。制作サイドは、なぜ彼女たちを起用したのだろうか?
「映画ウラ事情」とは:
総合エンタメサイト「クランクイン!」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、クランクイン!より転載しています)。
TBS系の秋のドラマ特別企画「リセット〜本当のしあわせの見つけ方〜」で、14年ぶりに民放ドラマ出演を果たした鈴木保奈美(46)、10月6日公開の映画『新しい靴を買わなくちゃ』で主演を務める中山美穂(42)、「ロングバケーション」以来、16年ぶりに連続テレビドラマに出演する山口智子(47)など、かつて一世を風靡した女優たちが、ここに来て芸能活動を再始動&本格化させている。
配偶者の稼ぎが少なくなった、子育てがひと段落した、やっぱり芸能界が忘れられないなど、それぞれ、カムバックにはさまざまな理由があるだろうが、起用する側にしてみれば、なぜ彼女たちだったのだろうか。
ある関係者は、こう話す。
「TSUTAYAが60歳以上の利用者に向けて旧作レンタルを1日1本無料にするサービスを期間限定で行ったり、小売業ではシニア向けに店舗を改造したりと、今のマーケットはお金に余裕のあるシニア世代が焦点となっています。その次に重要視しているのが、バブルを経験した40〜50歳くらいの人たち。彼らは若い子のように安いものでも上手く取り入れて着こなせるセンスはなく、高いほうがいい、ブランドものが絶対と、ある意味、消費活動が活発です。また、“美魔女ブーム”に代表されるように、特に40代女性は、自分に対する投資は惜しまない。そのようなモチベーションの彼女たちは40代でも美しさを保ち、仕事をして輝いている、かつてのトレンディドラマ女優が登場すれば、憧れと参考から劇場へ足を運ぶし、ドラマだって見るでしょう」
次に、別の関係者は、「日本映画製作者連盟による平成23年度の映画館への入場人員は前年比83%と、決して未来は明るくありません。そんななか、彼女たちの出演は明るい話題です。例えば、2010年公開の中山美穂主演映画『サヨナライツカ』は、大ヒットこそしなかったものの、中年女性の来場が多く、久しぶりの映画という人も多かった。だからこそ、手堅い結果が予測できる彼女たちを起用する」と、答えてくれた。
そして、こう口にする関係者も。
「40代女性をターゲットに番組や映画を作れば、作品に登場する洋服やアクセサリー、インテリア、生活雑貨など、トレンディドラマ時代がそうであったように、あらゆるものが購買対象となります。つまり、それだけ企業の協力を得やすく、出資してくれる可能性も高いわけです。シニア世代も大切ですが、そういった意味で広がるのは40代女性ターゲットの作品。これからも増えると思いますよ」
辛らつな意見もあったが、何にせよ、市場が活発になるのはいいことに違いない。どんどん消費だ、40代女性!
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