この夏、ヒコーキ旅行のすすめ:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/4 ページ)
旅とは、目的地に着いてから始まるものではない。目指す先が欧米であれ、アジアであれ、出発地の空港で搭乗ゲートをくぐった瞬間から旅は始まる。それが私の考え方だ。本格的な夏休みを前に、今回は“ヒコーキ旅行”のすすめ──。
TG677便のゴージャス体験
最近では、2013年1月1日に成田線に就航したタイ国際航空のA380に乗って、バンコクを旅してきた。タイ国際航空は現在、東京(羽田を含む)とバンコクを結ぶ路線で毎日4往復を運航しているが、A380を導入したのはそのうちの成田を17時25分に出発するTG677便。最初にキャビンに足を踏み入れると、そのゴージャスな空間に一瞬、戸惑いすら覚える。もし目隠しされて連れてこられたら、ここがどこなのか、乗客の多くはすぐに理解できないに違いない。
キャビンは3クラスでレイアウト。アッパーデッキ(2階席)前方に12席のファーストクラスが置かれ、私が予約したロイヤルシルク(ビジネス)クラスは広いギャレーをはさんでその後方に設置されていた。フルフラットになる最新のシートが計60席、前後で互い違いにレイアウトされ、ハイレベルなプライバシーが確保されている。どの席からでも隣の乗客に気兼ねなく通路に出られるのがうれしい。2本の通路に挟まれた中央には隣り合わせのペアシートも用意されている。こちらはカップルや親子連れの乗客に最適だ。
この世界最大の旅客機A380を導入しているエアライン各社は、キャビン設計でそれぞれに個性を打ち出している。ほかにシンガポール航空、ルフトハンザ、エールフランス航空なども日本路線でA380を使用しているし、もちろんA380を導入していないエアラインも自分たちが運航する路線のキャパシティに合ったフリートでこれまでにない快適さ、ゴージャスさを追求している。とくにビジネスクラスのプロダクトやサービスの向上に各社は力を入れ、従来では考えられなかったような豪華なシートや機内食が提供されるようになった。せっかく海外に飛ぶなら、それらを丸ごと味わい尽くさない手はない。
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