バニラエア搭乗記――前身のエアアジア・ジャパンと何が変わった?:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/3 ページ)
2013年12月20日、日本にまた新しいLCCが誕生した。同年10月で運航を終了したエアアジア・ジャパンの後を受け「リゾートLCC」として生まれ変わったバニラエアだ。その“変身ぶり”を探るため、成田から那覇へのフライトを体験した。
予約サイトも全面リニューアル
エアアジア・ジャパンのときに利用者から不評だったひとつが、Webサイトの使い勝手だ。バニラエアではその反省もふまえ、サイト開発担当者が世界中のエアラインのWebサイトを徹底研究。バニラエアならではの新サイトをつくり上げた。表示は分かりやすく改善され、必要項目の入力にも戸惑うことはない。初めて海外へ出る人には「パスポートの取り方」などの解説ページがあり、親切なサイトだと評判だ。
これまでは出発時刻の45分前になるとチェックインが締め切られてしまった。これも、利用者からの苦情が多かった点である。しかしバニラエアは、チェックイン手続きの締め切りを出発の30分前まで延長。インターネットで予約番号と名前を入力して事前にWebチェックインを済ませ、搭乗券をプリントアウトしておけば、搭乗ゲートに出発の20分前までに到着すればいい。
「時間を有効に使えるようになりましたね」
搭乗ゲートで何人かの乗客にインタビューすると、特にビジネスで沖縄へ飛ぶ人たちからはそんな声が多く聞かれた。
預け入れ荷物は20キロまで無料に
6時25分、搭乗が始まった。駐機スポットで待機するシップまで、ゲートからはバスでの移動だ。約400人の社員の意見が採り入れられたという機体デザインは、じつにシンプルで爽やか。機体後部から尾翼にかけての黄色のカラーリングは、シップ近くで客室乗務員やゲストサービス担当が乗客を出迎えるときに、青の制服が一番映えるように考えられたそうだ。
搭乗もスムーズに進んでいる。通路で立ち止まる人が少ないのは、手荷物をカウンターで預ける利用者が増えたからかもしれない。LCCでは通常、荷物を預け入る場合に料金がかかる。だからこれまでは、持ち込み可能なぎりぎりのサイズのバッグに荷物を詰め込んで機内に持ち込む人が多かった。
「せっかく安いチケットをとったのに、荷物を預け入れるために出費はしたくないですよね」
そう話してくれたのは、休みを利用して沖縄旅行に出かけるという若者グループだ。彼らはみんな小さなセカンドバッグ程度しか手にしていない。バニラエアでは、格安のキャンペーン運賃を除き、20キロまで荷物を無料で預けられるようになった。リゾートへ行く人はお土産などで荷物が多くなることへの配慮から生まれたサービスである。こんな点も「リゾートLCC」を標榜するバニラエアらしさと言っていいだろう。多くの人がカウンターで荷物を預けてきているので、乗客の搭乗も短時間で完了。ドアがクローズされ、JW801便は定刻の6時45分に沖縄・那覇に向けて出発した。
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