普通のパンと全粒粉パンの違い、分かりますか? 茶色いパンとは、チョコパンではありません。全粒粉パンのことです。
全粒粉とは小麦粉の一種です。普通の小麦粉は胚乳だけを粉にしていますが、全粒粉は小麦の表皮や胚芽、胚乳をすべて粉にしたものです。普通の小麦粉と比べて、食物繊維や鉄分、ビタミンなどを豊富に含んでいるそうです。
全粒粉パンを食べれば死亡率が低くなる!?
このたび、全粒粉を多く摂取している人は心臓病による死亡率が低くなるという報告がありました。2015年1月5日、米ハーバード大学の公衆衛生学、ウー・ホンユ氏らの研究グループが、米国医師会雑誌であるジャマ(JAMA)誌に研究成果を発表しました。
これまで、全粒粉を含む食品を多く食べることは、2型糖尿病や心臓病といった生活習慣病などのリスクを下げることが報告されています。しかし、全粒粉と死亡率を結びつけたデータはほとんどありませんでした。
大規模な調査で見えてきたものは、心臓病予防
研究グループは米国の看護師健康調査(1984年から2010年)で女性7万4341人、医療従事者疫学研究(1986年から2010年)で男性4万3744人、合計12万人程度の人を対象として、全粒粉の摂取量と死亡リスクの関連を検証しました。彼らは年齢、喫煙、BMI、身体活動、食事の内容をそれぞれ点数付けし、全粒粉と健康の関連を詳細に分析しました。
この10年以上にわたる追跡期間中に死亡したのは2万6920人でした。結果として、生活スタイルや食事などに関係なく、全粒粉を摂取する量が多ければ心臓病による死亡リスクが低いことが分かったのです。
1人分の全粒粉量(1日当たり28グラム)をとると、全死因による死亡が5%低く、心臓病による死亡は9%も低いことが分かりました。しかし、がんによる死亡リスクとは関連性が見られなかったようです。
小麦の表皮に予防効果あり
彼らはさらに、全粒粉に含まれる各成分ごとの健康効果を比較しました。すると、ふすま(ブラン、小麦の表皮)を摂取した人では心臓病の死亡は2割減少していたものの、胚芽と死亡率低下には関連がみられませんでした。
全粒粉で作ったパンが美容や健康に良いとは知られていましたが、死亡率まで減らすことが分かってきたのは画期的です。全粒粉にはこれからも注目です。
編集部より:
本記事は自宅で遺伝子検査ができる「MYCODE(マイコード)」のサイト内で掲載している情報を転載したものです。
MYCODEトピックスでは、実は知らなかった意外な食事や健康法、気になる病気の新発見情報など、生活改善の最新ネタをお伝えしていきます。今日から始められるダイエットや病気の予防など、思わず人に話したくなる日々の生活改善のヒントをお届しています。
関連記事
- 本当? 糖尿病予防にチョコレートが効果的
バレンタイン前に、チョコレートを食べたいなあと思っている人もいるのでは。チョコレートは糖分も脂肪分も多いので「体に悪いのでは!?」と思い込んでいるかもしれませんが、意外な効果があることが分かってきました。それは……。 - 大豆のちょっといい話 「ハンバーグより豆腐ハンバーグ」でスリムに!?
2月3日は節分。家で豆まきをされる人も多いのでは。大豆には体に良い栄養分が含まれていると言いますが、どのような効果があるのでしょうか。オランダの研究グループが分析したところ……。 - 男性はいずれいなくなる? 男性の遺伝子が大量消失しているという「謎」
男性限定の遺伝子(Y染色体)の数が急激に減っていることをご存じでしょうか。「男性は滅亡し人類は滅亡する」といった声もありますが、そんな男性滅亡論に反論する研究が報告されました。それによると……。 - 「たばこ病」ってなに? 喫煙者に言ってはいけない5つのこと
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を知っていますか? 主に喫煙が原因で、肺や気管支が炎症を起こしてしまう、いわゆる「たばこ病」。COPDにならないために最も効果的なのは「禁煙」だが、喫煙者に言ってはいけないことがあります。それは……。
関連リンク
Copyright© DeNA Life Science, Inc. All Rights Reserved.