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Survey:コラム 2003/10/24 00:00:00 更新

ITソリューションフロンティア:ソリューション
ディザスターリカバリーサイト構築の要点

危機管理の重要性が叫ばれるなかで、ビジネスコンティニュイティプラン(業務継続計画。以下、BCP)の策定を進める企業が増えている。その重要な要素となるのがコンピュータセンターのディザスターリカバリー(災害復旧)サイト(以下、DRサイト)である。本稿では、DRサイト構築にあたって考慮すべき点について考察する。

最優先経営課題としての危機管理

 米国で起きた9.11同時多発テロ以来、企業の危機管理の重要性に対する認識が以前にも増して高まっている。グローバルに事業を展開する外資系金融機関は、BCPを策定し、各海外拠点においてもコンピュータセンターのDRサイトの整備を進めている。一方、金融当局も金融機関の危機管理への取り組みをチェック項目に追加し、コンティンジェンシープラン(危機管理計画)の整備状況を重点チェック項目としてあげている。そこには大規模災害時の対応状況の確認にとどまらず、局所災害を想定した項目も盛り込まれており、その対応は金融機関にとって最優先経営課題のひとつとなっている。

DRサイトに求められる要件

 業務の継続性をいかに確保するかは、法規制への対応のみならず、決済リスク回避のための経営課題でもある。業務継続のためにBCPを策定する上で考慮しなければならない点は、主設備と代替設備を、地理的・時間的制約と費用対効果に照らしていかにプランニングするかということである。

 DRサイトに求められる要件は多岐にわたるが、とくに業務継続性という観点からは以下の3つの条件を満たすことが必須である。

(1)想定災害地域の範囲外の安全な場所に設置されること

 災害時に代替設備が使用できない事態は避けなければならないため、地理的条件は第1に検討する必要がある。自社で複数設備を保持せず、設備ベンダーを活用することも可能である。

(2)許容される時間内に復旧できること

 現在多くの金融機関では遠隔地のコンピュータセンターを代替設備とし、バックアップテープを搬送して万一の事態に備えているのが実情である。しかし、一般的にバックアップテープからのシステム復旧には、データベースへのデータロードに時間がかかるため半日程度のリードタイムが必要である。STP (約定〜決済全自動処理)化が進む今日においては、このリードタイムをできるだけ短縮する必要がある。

(3)コストがリスクに見合ったものであること

 リードタイムを短縮するためには、データセンターの完全二重化が理想である。しかし、そのためのコストは回線費用なども含めると現行ランニングコストの2倍以上となり現実的でない。DRサイトの実現にはリスクに見合った維持コストを実現することが最大の課題になる。そのため、継続すべき業務に優先順位を付け、災害のために当該業務が行えない場合の損害を明らかにした上で、講じるべき代替手段と、かけるべきコストを判断することが必要である。

「I-STAR」におけるDRサイトへの対応

 NRI (野村総合研究所)では、ホールセール証券会社向け共同バックオフィスシステムとして「I-STAR」を提供している。

 I-STARのメインコンピュータは、NRIの横浜データセンター(YDC)内では障害を考慮した構成となっていたが、万一YDCが使用できなくなった場合には、代替手段として不十分であった。NRIでは、社会インフラを担うシステムベンダーの使命として、大阪にI‐STARのDRサイトを構築し、2003年10月より運用を開始する予定となっている(図1参照)。

図1

 I-STARにおけるDRサイトは、データの遠隔地コピー技術を活用してリードタイムの短縮を図っている。また、利用顧客企業に対してアンケートやヒアリングを行い、優先度の高い業務を継続する適切な代替設備レベルとすることによって、適正なコストを実現している。

安全という信頼の証

 「水と空気と安全はただである」という日本人的感覚をもった経営者は、現在ではもういないであろう。これまで培ってきた信用、信頼、ブランド力を今後も維持し、さらに高めていくためには、顧客からの「あなたは安全にいくらかけていますか」という問いに真摯に答えていかなければならない。企業に対する信頼は、安全をいかに保障するかにかかっている。金融機関にとっても、安全という信頼の証を顧客に示すことが必須である。

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関連リンク
▼OPINION:野村総合研究所

[小林恵子,野村総合研究所]

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