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Survey:コラム 2003/11/05 16:56:00 更新

e-biz経営学
国際化とは何か、IT革命とは何か、さぁみんなで“深く”考えよう

「国際化とは何か、IT革命とは何か」と大上段に問題を投げ掛けられても、何の新鮮味もない、と思われる方も多いだろう。だが、5年後に日本の社会システムや企業あるいは個人が持つべき競争力のイメージを具体的に浮かび上がらせるような体系として、国際化やIT革命の本質が論じられたことがあるだろうか。

 いまさら「国際化とは何か、IT革命とは何か」と大上段に問題を投げ掛けられても、どうせ手垢にまみれた言葉の羅列が出てくるばかりで何の新鮮味もない、と思われる方が多いかと思います。でも、よく考えてみると、5年後に日本の社会システムや企業あるいは個人が持つべき競争力のイメージを具体的に浮かび上がらせるような体系として、国際化やIT革命の本質が論じられたことがあるでしょうか? 

 ぼくは1975年にアメリカに渡り、2年間、Xerox社に勤務した後、応用数学で学位を取得しました。アメリカのビジネス大学院でずっと教育・研究・コンサルティング活動に携わり、1995年に日本に戻りました。現在までの人生のほぼ半分をアメリカで過ごしたことになります。国際化を巡る問題や21世紀における日本や日本企業の課題を考えるようになったきっかけは、1980年代にアメリカの学界・ビジネス界を挙げて蔓延した“日本的経営フィーバー”です。アメリカに住む日本人として自然な興味を持ち、色々な本や論文を読み、日米両国でビジネスの現場を見て歩くうちに、「言われていることと現実は何だか違うのではないか」という違和感を抱くようになりました。

 以来、20年間、そうした問題をずっと考え続けてきました。データを駆使した統計的手法には頼らず、あくまでも「体系からの論理的帰結」にこだわり、トヨタの「現地現物主義」に習い、足で稼いで実際に現実にぶつけて検証するという方式を採っています。応用数学が本職ですから、時間にも追われ、そうした体系を論文に表すということはなかったのですが、今回、このようにウェブ上に発表する機会を与えられ、それじゃあ一発、本格的に書いてみようかという気になりました。どのくらいスタミナが続くか分かりませんが、ぼくの連載を通して、「日本企業のグローバル戦略のスペクトラムと課題」「e-ビジネスでアメリカに勝つためには日本企業は何をなすべきか」「日本企業の人事制度の激変とその是非」「日本中小企業の生き残り戦略の可能性」、「日本ソフト産業はなぜアメリカに負け続けてきたか」「21世紀におけるコーポレート・ガバナンスと企業倫理」など、日本や日本企業が切実に思う様々な具体的課題に対して、同じ体系から具体的な指針を導く仕組をお伝えできるよう頑張るつもりです。勿論、論旨は1回毎に完結させ、その都度、楽しめる(?)読み物にしようという努力は行います。

 先ず、「国際化とは何か」から始めましょう。何も難しく考えることはありません。差当たり、「文化的、歴史的、宗教的背景の異なる人々が、“一つの場”を共有して活動を組織・展開するようになること」と定義しておきましょう。すると、国際化を巡る問題は、以下の4つの異なる水準で考えられるべきであるということが理解できます。

  1. 個人水準
  2. 組織管理水準
  3. 組織戦略水準
  4. 社会システム水準

 個人水準では、文化・歴史・宗教的背景の異なる人々が“一つの場”を共有し活動を展開する際に、自らの占める場所を創り出しリーダーシップを発揮するためには、どのような能力を必要とするかが問題となります。皆さんの同僚が、北米、欧州、アジア、アフリカ、南米と世界各地からやってきたとして、そうした同僚と快適かつ効率的に仕事をするためのノウハウです。勿論、現実的に世界言語として機能している英語能力の涵養は不可欠ですが、これは別個に考える方が望ましいと思われるので除外します。

 組織管理水準では、そうした個々人が世界中から集まって一つの組織を構成したときに、プロとして気持ちよく伸び伸びと実力を発揮できるような管理原則とは何かを問うことになります。皆さんが部長職にあり部下が世界各地からやってきたとして、上司としてどのような仕事振りをすれば部下がちゃんと付いてくるかという問題です。

 組織戦略水準では、国際化を通して激動する世界の中で組織目的を明瞭に位置付け、ビジョンを創出し、現状分析を行い、ビジョンを実現する行動計画を確立・実行し、その全体を不断に検証しながら必要な改編を舵取りする方法論が重要となります。皆さんが社長になったとして、世界的に連動・激変する市場を相手にどう舵取りをすれば、世界各地の社員は尊敬を抱いて働く意欲を掻き立てられ、世界各地の投資家は納得するか、という課題です。

 最後に、社会システム水準では、そうした世界の中で、個々の組織を超えて国や地域の繁栄をもたらす社会システムの新しい形を創出することが問われます。これは、首相や大統領の能力を問う基準を提供することになります。

 何といっても“体系”ですから時間と辛抱が必要ですが、次回以降、先ず、国際化を考える際に陥りがちな罠を指摘し、国際化の度合を測る3つの基準を提示した上で、個人水準の話から順を追って積み上げていき、皆さんと一緒に、国際化とIT革命を巡る諸問題を“深く考える”冒険の旅に出たいと思います。

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▼OPINION:筑波大学 e-biz リサーチ・コンプレックス

[住田潮,筑波大学]

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