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2004/03/08 00:00 更新

製品開発のプロジェクトマネジメント
第2回:DSMによる業務プロセスの記述

今回は、DSM(Design Structure Matrix)による具体的なプロセスの記述方法を説明していく。

DSMによる業務プロセスの記述

 前回、ガントチャートでは「繰り返し」を含む業務プロセスを正確に記述できない点を指摘し、そのようなプロセスを記述する手法として、DSM(Design Structure Matrix)があることを紹介した。今回は、DSMによる具体的なプロセスの記述方法を説明する。題材とする業務プロセスには、前回と同様に「夕食を準備する」プロセス(例1)と「家族旅行の計画を立てる」プロセス(例2)を用いる。まずは1つめの例から見てみよう。

図1

図1:「夕食を準備する」プロセスのDSM記述例

 図1は、「夕食を準備する」という“業務プロセス”(前回の例1を参照)を、DSMにより記述した図である(「食材を買う」タスクをプロセスの最初に追加している)。

 前回のガントチャートと図1のDSMを比較すると、表現方法が大きく異なることが分かる。ガントチャートではプロセスを「時間軸方向に流れるフローチャート」として描いていたが、DSMでは「タスクの依存関係を明記したマトリックス」として描いている。

DSMの記述ルール

 このようにDSMを使って業務プロセスをマトリックス形式に記述するルールは、次の通りである。

まず、プロセスを構成するタスク(作業の単位)を洗い出し、実施する順に左側の縦列に記入する。次に、同じタスクを同じ順序で横方向にも記入する。図1では、上の行にはタスクの名称ではなく「番号」を記入している。そして、左側に並べた各タスクの必要とする情報が、上の行に並べたどのタスク(ここではタスク番号)から供給されるかを、「X」印で記入する。なお、同じタスクがクロスする対角線上のセルには、斜線を引いておく。

 例えば、前回見たように「野菜を切る」(タスク2)は「野菜を洗う」(タスク1)にて生成された「洗い終わった野菜」が必要なので、「野菜を切る」の行(横方向)には、「野菜を洗う」の列(縦方向)とクロスするセルに「X」が記入されている。

DSMの内容を読み取る

 このルールに従って、図1のDSMから分かることを読み取ってみよう。例えば青枠部からは、「食材を買う」のアウトプットがどのタスクで使われるかを知ることができる。今晩のおかずは焼き魚と野菜サラダで、ママが買う食材は魚と野菜。そしてこの買い物の“アウトプット”は、「野菜を洗う」と「魚をおろす」に“インプット”される、ということが、青枠部から分かる。

 一方、赤枠部からは、「皿をテーブルに運ぶ」ためには、どのタスクからのアウトプットが必要となるかを読み取ることができる。この行にはタスク5、8、9、10とクロスする部分に印が付けられていることから、「皿をテーブルに運ぶ」の前には、「米をよそう」「魚を盛り付ける」「サラダを盛り付ける」そして「テーブルをセットする」の各タスクが行われている必要がある。

「繰り返し」を含む業務プロセスのDSM

 DSMの記述方法が分かったところで、前回のもう1つの例である「家族旅行の計画を立てる」プロセスを、DSMで記述してみよう。

図2

図2:「家族旅行の計画を立てる」プロセスの、DSM記述例

 前述のルールに従って、赤枠部と青枠部を読むと、「日程を決める」というタスクには、タスク4、5、6のインプットが必要であり、そのアウトプットは、タスク4、5、6に渡されることが分かる。

さて、前回、これら2つの業務プロセス(夕食準備と旅行計画)には大きな違いがあり、それは旅行計画のプロセスが「繰り返し」を含む点であると指摘した。その違いは、2つのDSMのどこに現れているだろうか?

 次回は、この問いに対する答えを説明しながら、DSMと業務プロセスの関係について、もう少し詳しく見ていくこととする。

関連リンク
▼米マサチューセッツ工科大学(MIT)
関連記事
▼第1回:従来の方法による業務プロセスの記述
▼連載開始にあたって

iTiDコンサルティング
2001年、電通国際情報サービスと米ITIの合弁会社として設立。 両社の特長を受け継ぎ、「製品開発の“品質”にフォーカスをあて、その抜本的な改革を支援する」ことを事業コンセプトに、わが国初の開発生産性定量指標『iTiD INDEX』の開発や独自の『ワークストリーム』の導入など、独創的な手法で製品開発プロセスの抜本的な改革を支援している。

著者

水上博之
電通国際情報サービスでCAD/CAM/CAEシステムの導入支援などに従事した後、2001年より現職。主にメカニカルエンジニアリング領域における設計業務改革のコンサルティング活動に携わっている。

[水上博之,iTiDコンサルティング]

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