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2004/05/07 03:00 更新

ITソリューションフロンティア:ソリューション
モバイルネットワークの利便性を向上させる「Mobiletune」

高いモビリティによる利便性が求められるモバイルネットワークには、通信品質の問題からその利便性が阻害されているという現状があり、安定かつ高速な通信環境の整備が求められている。本稿では、このようなモバイルネットワークの課題を明らかにするとともに、それを解決するNRI(野村総合研究所)のソリューション「Mobiletune」について紹介する。

モバイルネットワークの現状と課題

いつでもどこでも自由にネットワークに接続できるユビキタスネットワークにとって、モバイルネットワークは最も重要な要素である。昨今ではモバイル機器が急速に普及し、広帯域モバイル通信網が徐々にエリアを拡大している。その一方で、ユーザーからは、「通信スピードが思ったより出ない」「移動中の通信断により何度も再受信する必要がある」「通信パケット量が多く通信費が予想以上に高い」などの声も聞かれる。

携帯電話網やPHS(簡易型携帯電話)網を利用したモバイルネットワークには以下のような技術的課題があり、これらが通信を不安定にし、利便性の低下を招く原因となっている。

(1)データ到達遅延時間と送出帯域の変動

 モバイルネットワークでは、有線インターネットの10倍以上のデータ到達遅延時間が発生する。通信環境に応じてこの到達遅延時間は揺らぎ、大きく変動する。また、基地局との距離や同一基地局へ接続するユーザー数により著しい帯域の変動も発生する。

(2)パケット損失率の上昇

 多くのモバイル通信網ではパケット損失補正をパケット網内である程度行うが、基地局からの信号が弱い場合や、基地局を移動する場合は、瞬断が連続的に発生してパケット損失率が増加する。さらにパケットの到着順序も乱れることがあり、レスポンスの急激な悪化を引き起こす。

(3)通信チャネルの解放・通信断の多発

 多くのモバイルネットワークでは通信のアイドル状態が続くと自動的に通信チャネルの割り当てを解除する仕組みを採用している。いったんチャネルが解除されてしまうと、クライアント側から自動的に復帰する手段がない。また、接続が切断されると、再接続時に割り当てられるIPアドレスが変更されるため継続受信ができず、受信し直す必要がある。

通信ミドルウェア「Mobiletune」

 「Mobiletune」は、前述の課題を解決するために開発された通信ミドルウェアである。再送制御、輻輳制御といった通信の信頼性を保つ機能により無駄な通信を削減し、セッション維持機能により再接続後の継続受信を可能としている。また、通常より圧縮効果の高いデータ圧縮技術により、通信時間の短縮と通信パケット量の大幅削減を実現している。

 Mobiletuneは、従来のサーバーやクライアントにモジュールをインストールするプロキシ方式を採用し、既存アプリケーションの変更やネットワーク構成の見直しが不要なため導入が容易である。また、万一Mobiletuneサーバーの障害が発生した場合でも、端末側で従来の通信方式に簡単に切り替え可能なため耐障害性が高い。さらにMobiletuneそのものに暗号化機能を備えているため、安全なプラットフォームを提供できる。市販のIPSecVPN (セキュリティ技術)製品と組み合わせて利用することも可能で、その場合でもデータ削減効果が見込める。

 NRIのベンチマーク結果では、従来の通信方式と比べて通信時間は最大1/10、通信データ量も最大で80%削減できることが確認されている。図1は静止した状態でYahoo!ホームページを閲覧したベンチマーク結果で、受信時間は約1/2、送受信データサイズは1/3以下に縮小されていることがわかる。

広い適用範囲

 Mobiletuneは導入が容易で維持管理の負荷が低く、安全な通信環境を提供できることから、企業システムへの適用範囲も広い。実際に、外出先からイントラネットやメールシステムへアクセスするシステムや、離れた拠点から業務データをサーバーにアップロードするシステムなどへ適用することで、通信コスト削減や業務効率の向上といった効果が得られている。

 また、PHSの定額制データ通信サービスを利用して、スーパーバイザーが巡回先から社内ネットワークにアクセスできるWebベースの営業支援システムを運用しているある大手流通企業では、定額制とは言え通信の高速化が課題となっていた。通信量削減効果の高いMobiletuneを導入した結果、ほぼすべてのアプリケーションメニューにおいてアクセス時間が1/2〜1/4に削減されるといった効果が得られている。

 ユビキタスネットワークにおいて、安定・高速・安全なモバイル通信環境を整備してゆくことはひとつの課題であり、Mobiletuneのような通信技術は共通プラットフォームとして有効であろう。今後、企業向けモバイル環境だけでなく、カーナビゲーション、携帯電話といった端末へのMobiletune適用が期待される。

図
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▼OPINION:野村総合研究所

[金澤仁,野村総合研究所]

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