インタビュー
» 2006年07月25日 22時53分 UPDATE

達人の仕事術:2人の起業を支えたのは「Skype」――ヴァルハラワークス・馬場庸行さん

ヨーロッパの文房具を扱うネットショップ「フルークターク」を運営するヴァルハラワークス。この会社を設立した2人を支えたのは「Skype」だった――。

[鷹木創,ITmedia]

 株式会社ヴァルハラワークスはネットショップ「欧州文具店フルークターク」を運営する会社だ。代表取締役は馬場庸行さんらが2003年9月に設立した。馬場さんの幼なじみで、もうひとりの役員である兼吉亮成さんの2人は、別々のオフィスで仕事している。離れた2人をつないだアプリケーションが「Skype」だった。

常時接続Skypeと起業

st_v01.jpg ヴァルハラワークスの馬場さん

 P2Pファイル交換ソフト「Kazaa」の開発者たちが、その技術を応用して開発した「Skype」を発表したのは、ちょうどヴァルハラワークス設立と同年の2003年。以後、安価な通信料金や優れた通話品質などにより、Skypeは全世界的な普及を見せることになる。

 馬場さんは、このSkypeに「早いうちから興味を持っていた」という。

 2歳上の兄の影響もあってか馬場さんは、PC-88やMSXなど古くからのPCユーザーでもある。昔から音声チャットに興味があり、海外製のVoIPソフトも使ったこともある。その時は日本語版のWindowsでは動かなかったが、Skypeには飛びついた。「試してみたらクリアな音質でした。これはいい、と思いました」

 ヴァルハラワークスでは(といっても社員は現在のところ2名だが)、Skypeの音声通話が常に接続された状態になっている。

 お互いの実家がそれぞれのオフィスのため、2人の連絡は密にする必要がある。離れていてはバラバラになりがちな意思を疎通させるために、当初はメールを使っていた。しかし、「メールは面倒くさいですよね。そのうち、インスタントメッセンジャーによるチャットも面倒くさくなってしまいました。ウィンドウを切り替えるのも面倒くさいです(笑)」。そうして、徐々にSkypeによる音声チャットに切り替わっていった。ついには常時接続環境を活かして、つなぎっぱなしのSkypeによる擬似オフィス空間を作り上げたのだ。

 ちょっとした時に意思の疎通を図りたい――。これが馬場さんたちがSkypeを立ち上げ続ける目的だ。お互いがマイクをオンにしているから、「今ちょっといい?」などと作業をしながらでも気軽に声がかけられる。しかもSkype同士だから通話料金もない。

業務で使うSkype――気をつけたいこと

 マイクの位置や感度、スピーカーからの音の大きさ以外に気をつけたいポイントはどこだろう。

 馬場さんはヘッドセットを使用しているが、相手の兼吉さんはマイクと外部スピーカーで通話する。つまり、馬場さんからの話し声が一方的に外に漏れて、「今の聴かれてるぜ」と笑われることもあるという。聞かれたくなかった時の音、つまり「ごはんの咀嚼音とかオナラとかを聞かれたときは困りますねぇ」と苦笑する。

 自宅で仕事をしている場合は、周りの人に会話が聞かれてしまうこともある。たわいない冗談程度であれば笑い話で済むが、機密情報などの場合は情報漏洩に該当する可能性もある。Skypeで作業する場合は、通常の仕事場と同様の緊張感を持って話したほうがよさそうだ。

 音声だけでこうした効果があるなら、Webカメラを導入してみたくなるが、馬場さんは必ずしも必要ではないという。

 「最近のWebカメラは解像度も高くなってきましたから。鼻をかんでいるところは見られたくないですよね」。確かに、商品をみせるようなデモンストレーションには向いているが、共同作業には必要ではないのかもしれない。

st_v02.jpg 馬場さんの“7つ道具”

「とにかくお金がなかった」設立当時から2カ月で黒字化

 馬場さんには、ヴァルハラワークスの設立以前は東急ハンズで販売スタッフをしていた。配属先は希望の部署ではなかった。第一希望はボードゲームやダーツなどを扱うパーティグッズのフロア。その次の希望が文房具やキッチン用品だった。

 「配属先は革製品のフロアでした。はじめの数カ月は専門用語も理解できず、まわりのスタッフが何を言っているのか全くわかりませんでした」。結果的には現在の商品知識につながったが当時は「みなさん何を仰っているのか」という感じだったと笑う。「本当に修行時代でした」

 何かをやりたいという思いが漠然としながらもあった。東急ハンズに勤めていた2000年ごろから「起業することを考えていた」という。そんな時に、幼なじみで当時は大学院生だった兼吉さんと起業することに決めた。

 「とにかくお金がありませんでした」。だから、会社の登記も自分たちでやった。「一番最初に必要な書類を聞いて、書類全部を法務局に持って行って、その場で書き上げたりしてました」

 開店以来、のべ6000人に利用されてきた。売れ筋は単価1000円程度の手帳などだ。画材用品は取り扱っていないが、扱う商材は350点ほどにのぼる。もっとも高価な商品はドイツから輸入したラミーの4色ボールペンで1万500円。万年筆は扱っていないので単価的にはそれほど高くないという。購入金額が5250円以上であれば、配送料は全国一律で無料にしたのも、当時は業界でも安いほうだった。「最近は他社も値下げして来ていますから大変です」と苦笑する。

 借り入れや融資をほとんど受けずに来たからか、黒字化は事業開始から2カ月目と早かった。携帯電話もほとんど使わないから、通信費はインターネット接続料ぐらいだという。

 今後は「文房具だけでなくほかの分野のネットショップも立ち上げて行きたい」と抱負を語る馬場さん。世界中で普及するSkype同様に、ビジネスの拡大を目指す――。

st_v03.jpg  今後は「文房具だけでなくほかの分野のネットショップも立ち上げて行きたい」と抱負を語る馬場さん
プロフィール
お名前 馬場庸行(ばば・のぶゆき)
PC 自作マシン
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) A5402S
デジタルカメラ EXILIM EX-S2
ブラウザ Firefox
収集ツール(RSSリーダーなど) Bloglines
メールクライアント 秀丸メール
インスタントメッセンジャー Skype、Google Talk
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) Googleデスクトップ
検索サイト Google
Webメール Gmail
ブログ なし
SNS mixi、GREE
ソーシャルブックマーキング del.icio.us、FURL
影響を受けた人/本/Webサイト 「『美の文明』をつくる――『力の文明』を超えて」(川勝兵太)
座右の銘 悪いことはしない(人を騙して儲けない)
手帳/ノート モールスキンノート、デルフォニックス ロルバーン
ペン ステッドラー 芯ホルダーなど使用
その他小物(ICレコーダ、ポストイットなど) 筆入れやファイリンググッズなど多数

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