インタビュー
» 2006年07月31日 09時00分 UPDATE

達人の仕事術:キミはGIGAZINEを知っているか?――山崎恵人さん

毎月210万人以上のユニークユーザーを集めるニュースサイト「GIGAZINE」。はてなブックマークでも無類のブックマーク数を誇る人気サイトだ。このサイトを運営するOSAの山崎恵人(やまざき・けいと)さんに“GIGAZINE流”仕事術を伺った。

[鷹木創,ITmedia]

 「GIGAZINE」――。この“魔法の言葉”を自分のブログの記事タイトルに追加すると、それだけではてなブックマークへの登録が激増するという噂がある。そんな影響力を誇るこのニュースサイトの歴史は意外と古い。

 オープンは今から6年前の2000年4月1日。名称の「GIGAZINE」とは、「オンラインマガジンとしてギガバイト級のサイトという意味」で、ギガバイト級の「GIGA」と雑誌の「MAGAZINE」を組み合わせたものだ。

意外!? 山崎さんは「記事を書くのは好きじゃない」

 「2000年当時はギガというとスゴいイメージでしたが、今は普通になってしまいましたね」と笑うのは、GIGAZINEを運営する山崎恵人さん(OSA代表取締役)。今後のテラバイト級時代を見込んで「TERAZINE」という名前も考えたが、「『寺・寺院』専門誌みたいでしょ。今後も名前は変更しませんよ」

st_gi01.jpg GIGAZINEを運営するのは山崎恵人(やまざき・けいと)さん

 関西学院大学経済学部在学時にGIGAZINEを立ち上げる一方、卒業後はソフトバンクパブリッシング(現ソフトバンククリエイティブ)の「ネットランナー」編集部に在籍した。その後、2004年にライブドアの「livedoor コンピュータ」副編集長に就任したが、2005年5月に退社して、家業を継ぎ、テストパネル事業を行う「株式会社OSA」の代表取締役に就任。GIGAZINEの運営に注力することになる。

 GIGAZINEの特徴は、IT系だけにとどまらずインスタント食品やコーラなどの飲料などのカジュアルな話題も扱うところ。2005年以前は扱うネタをIT関連に絞り込んでいたが、今後、広告モデルのビジネスを拡大するためにもブランドイメージの確立が急務と判断。既存ニュースサイトが扱わない食品や飲料に進出することで、独自色を打ち出す戦略に出た。扱う範囲を拡大したことで、記事のネタがなくなることに困らなくなったのも利点だ。

 記事はあまり深掘りせず、極力短くまとめるようにした。「意外かもしれませんが、記事を書くのは好きじゃないんです」と山崎さん。代表取締役の山崎さんの下に編集長がいて、その下は数人のスタッフがフラットに並ぶという組織を目指し、ほとんどの記事をコラボレーションによって制作している。

 個人サイトとして誕生したGIGAZINEだが、すでに商業メディアになりつつある。山崎さんは営業に集中し、山崎さんがいなくてもGIGAZINEが更新される状態にしなくてはならない。事業の継続性が大事だからこそ、得意不得意に関わらず誰でも記事を制作できるようコラボレーション可能な組織作りを行っている。

GIGAZINEも「お菓子食べ放題」

 インターネットが普及するにつれ、ユーザー層も一般化してきたと見る。だからこそ食品や飲料などを扱うようにしたのだが、GIGAZINEで扱うのは、けして高価なものではなく、むしろジャンクフードに類するものだ。

 「アルコール飲料を扱わないかわりに、気軽に飲めるコーラなどの清涼飲料や、インスタント食品、お菓子などを扱います」。記事を書くには、山のように試食する。近所のコンビニもGIGAZINE編集部の要望で新製品を入荷するようになったほどだ。

 「お菓子が食べ放題」で有名な企業といえば米Googleなどだが、記事を書くためとはいえGIGAZINE編集部も「食べ放題」なのだ。「でも、食べたら記事を書くのがルールですので、スタッフ同士でどうぞどうぞと押し付けあっていますよ」

 食品・飲料系の記事は人気も高いため、最近は比較的頻繁に掲載されるようになったが、スタッフたちは「昼食以外はお菓子」の食生活を強いられている。「みんなで『死ぬー、死ぬー、このままじゃやばい』などと文句を言いながら記事を書いています」。乱れがちな食生活だからか、昼食は自然食が多くなった。「自炊しているスタッフも少なくありません」というのもあながちウソではないようだ。

st_gi02.jpg カバンは「PORTER×Excite ism オリジナルPCバッグ」。最近、GIGAZINEで製作秘話をリポートした

弘法PCを選ばず

 弘法筆を選ばず――。山崎さんが仕事をする上で意識していることだ。例えば、Windowsのショートカットを覚えると、他人のPCでも特にカスタマイズしなくても思い通りに利用できる。「弘法筆を選ばず」ならぬ「PCを選ばず」というわけだ。

 「2ちゃんねるのショートカットキー関連のスレッドを教えられてのぞいたときも、知らないショートカットキーはありませんでした。もともとPDAユーザーだったので、ショートカットを知らないと仕事になりませんでしたので、Windowsでもショートカットをほとんど覚えてしまったのです」

 気になったことはとことん試す性分で、特にファイル整理ツールは使い込んだ。「2xExplorer」「UnDup」「ファイル整理メニュー」「プロパティPLUS」「エクスプローラ拡張メニュー」「PicaView」「CopyExt」……「多すぎてわからない」ほどだ。

 とはいえ、これらのファイル整理ツールは一長一短だった。「ほしい機能のすべてを備えるソフトはありませんでした。基本的には2ペインで、同時に2つのフォルダを見ることができて、ファイルの移動がキーボード操作のみでできることが最低ライン。2xExplorerをもっとも利用しているのは、Windows標準のエクスプローラと互換だからです」。このほか、場合に応じて「ファイル整理メニュー」や「Undup」を使っている。

メインブラウザは「Mozilla」――Firefoxへの乗り換えは当分先

 情報収集は「スタッフに聞くことが重要」というから意外と古典的。「情報収集の一番の障害は時間です。自分自身がたくさんいるわけじゃないですから、ほかのスタッフに聞くのが簡単でいいですね。人間は見た情報を編集して教えてくれますから」

 山崎さんが巡回するサイト数は不明だが、お気に入りの容量は10Mバイトにも達するという。「ニュースサイトと名前が付くところは全世界的に見ています。場合によっては翻訳サイトを使ってでも見ます」。RSSリーダーはあまり使わない。頻繁に使っていたこともあったが「見づらいのであまり使わなくなった。タブブラウザで一気に開いて見たほうが早いし、サイト全体の様子もわかってキレイですよね」

 メインのブラウザはMozilla suiteを利用している。Firefoxは、Mozillaで利用していた機能をインストールしようとするとMozillaよりも重くなることが理由で使っていない。「乗り換えるとしたら、パフォーマンスが改善されるというFirefox 3の時でしょうね」と笑った。

 あまり使わないというRSSリーダーはThunderbirdを利用している。といってもRSSリーダーというよりは、メールクライアントの乗り換え準備という位置付けだ。「メインのメールクライアントはBecky!ですが、メールアカウントが大量に登録してあり、受信メールの容量が数GBに達しています」。RSSリーダーにThunderbirdを導入して、いっそメールクライアントも乗り換えてしまおうかという計画のようだ。

 メッセンジャーは、Windows Live MessengerやMSN Messenger、Skypeを利用している。特にSkypeは音声チャットというよりはファイル転送に活用しているという。「SkypeのNAT越えは強力です。ソフト自体でNAT越えを設定してくれますので初心者にも簡単ですよ。通信も暗号化していますし」

 検索サイトでは、Yahoo! JAPANやGoogleのほか、MSNサーチも比較する。「MSNサーチはインデックスが整備されていないように感じますが、インデックスサイズは大きいようです。アルゴリズムが特徴的なのでYahoo! JAPANやGoogleとは違う検索結果になるのも参考になります」

 ブログ検索では、テクノラティとlivedoorを活用。新製品を調査する時は更新頻度の高いテクノラティ、全般的な傾向を知る時は範囲が広いlivedoor――というように使い分けるのが特徴だ。検索といえば、2ちゃんねる検索も利用する。ニュースと連動してどんなスレッドが「ニュー速+」などに立つかをチェックするのだという。食事中はテレビ番組を見つつ、2ちゃんねるの「実況」板も同時に見ることが多い。実況スレッドの伸び具合を確認するためだ。

st_gi03.jpg 山崎さんの“7つ道具”。道に迷いやすいのでコンパスも必携だという。

「当たり前を積み重ねれば特別になる」

 最近好きな言葉は「当たり前を積み重ねれば特別になる」――。「日々、当たり前に記事を更新していたらいつのまにかここまできました」と笑う。積み重ねの原点、つまりインターネットに興味を持ったきっかけは、1998年制作のアニメ「serial experiments lain」だった。

 serial experiments lainは、現実社会とネットワークをめぐる14歳の少女・lainの物語。このアニメを見てインターネットに興味をもった。ネットを経由して現実に影響を与えたい――。そんな思いを胸に、山崎さんの「連続した実験(serial experiments)」はGIGAZINEで続いていく。

プロフィール
お名前 山崎恵人(やまざき・けいと)
PC パナソニック「Let'snote CF-W2」
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) 本多エレクトロン「AH-G10」、シャープ「W-ZERO3 WS003SH」、京セラ「AH-K3001V」
デジタルカメラ ニコン「COOLPIX S6」
ブラウザ Mozilla、Firefox、Opera、Internet Explorer、Sleipnir
収集ツール(RSSリーダーなど) Thunderbird、社員とのおしゃべり
メールクライアント Becky!
インスタントメッセンジャー MSN Messenger、Windows Live Messenger、Skype
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) 2xExplorer、UnDup、ファイル整理メニュー、プロパティPLUS、エクスプローラ拡張メニュー、PicaView、CopyExtなど
バックアップツール Acronis True Image、MyBackup
検索サイト Google、Yahoo! JAPAN、MSNサーチ、テクノラティ、livedoorブログ検索、2ちゃんねる検索
Webメール -
ブログ はてなダイアリー、ココログなど有名ブログのほとんどを試している
SNS mixi、GREEなど有名SNSのアカウントを所有
ソーシャルブックマーキング -
影響を受けた人/本/Webサイト ネットに興味を持ったきっかけは学生の頃に見た「lain」。lainの影響がなければネットなんてしていませんでした。人生を変えた1本です。
座右の銘 座右の銘ではないが「当たり前を積み重ねれば特別になる」という言葉が最近は好きです。以前は「お前の道を進め、人には勝手なことを言わせておけ」でした。
手帳/ノート 特定のものはない
ペン 特定のものはない
その他小物(ICレコーダ、ポストイットなど) コンパス。すぐ道に迷うため。

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