メールにタグ付け、ブラウザのように閲覧――Thunderbird 2.0 β1

12月12日に発表された「Thunderbird 2.0」のβ1では、メールにタグ付けができるなど先進的な機能を持つ。「戻る」「進む」ボタンを備え、ブラウザでWebサイトを見るときのようにメールを読むこともできる。

» 2006年12月14日 16時14分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 米Mozilla Foundationは12月12日、オープンソースのメールソフト「Thunderbird 2.0」のβ1をリリースした。Thunderbird 1.5.0.Xからはアイコンやメール一覧のインタフェースを変更したほか、メールにタグを付けることが可能になった。また「戻る」「進む」ボタンを備え、ブラウザでWebサイトを見るように過去のメールの閲覧履歴を行き来できる。まだβバージョンであるため仕様変更も予想されるが、今後のメールソフトのあり方を予想する意味でも興味深い。

 Thunderbird 2.0 β1は、Mozilla Thunderbird 2 Beta 1 Release NotesのページからWindows、Linux、Mac OS X向けの英語版を無料でダウンロードできる。ただし、このバージョンは開発者向けにテスト目的で公開しているものなので、自己責任でインストールしよう。

Thunderbird 2.0 β1

Thunderbird 1.5.0.8

メールにタグ付け、「検索フォルダ」と組み合わせて利用も

 メールにつけるタグは、デフォルトで「Important」「Work」「Personal」「To Do」などが用意されているほか、日本語を含む自由な名前を付けられる。タグは手動で付ける必要があり、自動的には付かないが、1通のメールにいくつでも指定が可能だ。

 また、Thunderbird 1.5.0.Xから存在した「検索フォルダ」機能も、タグに対応した。検索フォルダは「メールアドレスAからのメール」や「文章中にBという単語を含む」などのメール検索結果をフォルダの内容としてリアルタイムに更新する機能で、Gmailでいう「ラベル」機能に似ている。検索フォルダ機能とタグを組み合わせると、あるタグをつけたメールを自動的に特定のフォルダに入れていくことができる。

 メール振り分け機能との違いは、検索フォルダによって振り分けられたように見えるメールは実際に移動したわけではなく、そのメールが元々あったフォルダにも残っていることだ。これまで1つのメールは1つのフォルダにしか振り分けられなかったが、タグを活用すれば、「Work」かつ「To Do」といったタグを付け、両方の検索フォルダから一覧することができる。また、2.0 β1ではキャッシュ処理により検索フォルダの表示速度が向上した。

メールの検索画面。ここでは「Gmail」というタグをつけたメールを検索している。「Save as Search Folder」で検索フォルダに保存できる。

水色のアイコンが検索フォルダ。現在2通のメールが入っているが、今後「Gmail」とタグ付けしたメールもこのフォルダに自動的に入っていく

「戻る」「進む」ボタンでブラウザのようにメールを読む

 「戻る(Back)」「進む(Forward)」ボタンはデフォルトの状態では表示されない。表示するには、メニューから[View]-[Toolbars]-[Customize Toolbar]と進み、ボタンをメールツールバーにドラッグ&ドロップする。このボタンは、ブラウザでWebサイトを見るときと同じように使える。あちこちのフォルダのメールを読んでも、直前に読んでいたメールに「戻る」ボタンで戻ったり、進んだりできる。ボタンの横にある「▼」をクリックすると、過去に閲覧したメール一覧を表示し、そこに直接ジャンプも可能だ。

「Customize Toolbar」から「戻る」「進む」ボタンを選ぶ

過去に閲覧したメール一覧

 そのほかの新機能としては、重要度の高いメールなどに1クリックで星印をつける機能、未読メールがあるフォルダにマウスを持っていくと、メールのタイトルと差出人、本文の一部がポップアップする機能などがある。また、左ペインに表示されるフォルダ一覧は「すべて表示」「最近使ったフォルダのみ」「未読メールがあるフォルダ」などに表示切り替えが可能だ。さらに、Mac OS X版ではユニバーサルバイナリに対応した。

重要度の高いメールに星印をつける

未読メールがあるフォルダにマウスを持っていくと、メール内容がポップアップする

 1.5.0.Xから変化していない部分としては、外部のテキストファイルなどから読み込むのみで、編集ができない署名機能などがある。これはぜひThunderbird内で編集したり、複数の署名を使い分けたりする機能がほしいところだ。今後の開発に期待したい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ