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» 2007年01月11日 11時50分 UPDATE

2007文紙フェア:2006年売れたペン、2007年売れるペン

売れるペンとは――。2007文紙フェアに出展するステッドラー、オートなどの筆記具メーカーに、市場の動向を聞いてみた。

[鷹木創,ITmedia]

 ここ数年、鉛筆やシャープペンが人気だ。特に2006年は「えんぴつで奥の細道」などのヒットによって、鉛筆の価値が見直された1年だったという。


高額商品や限定生産品が売れる

 ステッドラージャパンも「鉛筆は売れた」という。特に売れたのが「大人のぬりえ」セットだ。これは、塗り絵の冊子と色鉛筆がセットになったもの。いきなり絵を書けと色鉛筆を渡されても呆然としてしまうが、塗り絵であれば気軽に達筆を振るえるはず――。そんな見込みの元、団塊世代をターゲットに販売した。

st_bu01.jpg 「大人のぬりえ」。「カラト アクェレル水彩色鉛筆 36色セット」「ウォーターブラシ(太筆)1本」「2穴シャープナー」「オリジナルスケッチブック(A4)」「線画・原画セット4種類」がセットになっている

 1セット1万80円と価格設定も大人向けだ。発売前の社内では「もっと安くするべきだ」との声もあったが、そもそも高品質が特徴のステッドラー、安価にすることで品質を低く見られることを恐れた。実は発売当初の価格は9975円だった。その後、原料の値上げで100円ほど値上げすることになる。だが、売り上げは落ちなかった。

 予想以上に売れたのがシャープペン「REG」だ。ボディにはアルミを採用して質感が高い上に、1回のノックで押し出す芯の長さを調整できるレギュレータを装備した。高級感と機能性を両備したシャープペンだ。

 1本1200円とシャープペンとしては高価な部類。当初限定生産の予定だったが、発売前に限定生産分を越える本数を受注してしまった。ステッドラーによると「一部業者が発売前にネット上で情報を公開したところ、口コミなどで評判が広がったようだ」という。実際、ブログ検索してみると「数々の『オレ・チェック』をくぐり抜けてきたシャーペンがREGだったわけ」「芯を出す量を調節できるの機能も良かったんですが、程よい重量感や金属の冷たさがよかった」など高く評価されている。結局、12月に入るまで生産が追いつかなかった。2007年も売れるペンになるだろう。

st_bu02.jpg REG
st_bu03.jpg 押し出す長さを最大にすると……
st_bu04.jpg 1回のノックで芯が2ミリ押し出される

st_bu05.jpg 押し出される長さを最小にすると……
st_bu06.jpg 1回のノックで押し出す長さは0.1ミリ。筆圧の強い人は、短めに設定するといいだろう

少量多品種が売れる

 「ニードルポイント」という独自のペン先をアピールするのはオート。この細身のペン先を採用したボールペン「アメリカンテイスト」が2006年の人気商品だ(2006年12月の記事参照)。

st_bu07.jpg アメリカンテイスト

 アメリカンテイストという商品はオートにとってある種の賭けだった。通常、ボールペンのような製品は5色程度のカラーバリエーションを用意する。顧客の好みを大まかにカバーするやり方だ。

 ところが、アメリカンテイストでは45種類のデザインを用意した。しかも小売店には1種類だけ、つまり売れ線のデザインだけの卸販売は行わなかった。基本的に数種類のセットで卸したのである。顧客ごとの細かい好みに対応する一方、不良在庫化する恐れもあったわけだ。

 結果から言えば、オートはこの賭けに勝った。1種類だけほしがる顧客もいたが、それ以上に数種類をまとめ買いする顧客が目立ったのだ。質感のわりに1本525円と値段を抑えたのも効果的だった。45種類を収納できる化粧箱ごと“ハコ買い”するケースもあったという。不良在庫がなかったわけではないが、45種類のセットが3〜4回転した販売店も少なからずあったのだ。

 2007年は、本体の長さを3分の2程度に縮めたミニサイズを発売する。現状では15種類程度と通常サイズほどデザインバリエーションはないが、文房具の小型化の流れを追った。果たして結果はどう出るだろうか。

st_bu08.jpg アメリカンテイストミニ。こちらの価格も1本525円だ
st_bu09.jpg オートでは筆ペンと般若心経の写本などまとめた写経セットも展示していた。こちらは筆ペン。ボールペンの替え芯もセットになっており、好みに応じて芯を替えられる
st_bu092.jpg ボールペンに替えて写経してみた

伝統を打ち破れ

 マジック――といえば手品のほかはマジックインキを思い浮かべる方も多いだろう。このマジックインキを製造・販売する寺西化学工業が、いわゆるマジックインキではなくアルコール系インキを採用した製品を開発した。それが「マジェスター」である。

st_bu10.jpg ペン軸の両端に細い芯と太い芯を持つ両用書きタイプの「マジェスター」。1本157円

 従来のマジックインキは、プラスチックを溶かすキシレン系のインクを用いていたため、ボディに再生プラスチックを利用することが必須条件のエコマークを取得できなかった。マジェスターでは伝統のキシレン系インクから、アルコール系インクを変更することでボディに再生プラスチックを採用、念願のエコマークを取得した。マジックインキ同様に、替え芯や補充用インクも用意し、1本購入すれば末永く使えるのも特徴だ。

 なお、これまでも寺西化学工業では一部細字のサインペンではアルコール系インクを採用していたが、あくまでも主力はキシレン系インクだった。ところが最近になって官公庁を中心とした法人で、エコマークを取得した製品を優先的に購入する動きが広がっていた。その動きに対応した製品としてマジェスターを開発したという。

 このマジェスターはペン軸の両端に細い芯と太い芯を持つ両用書きタイプのペンでもある。寺西化学工業は「油性サインペンとしてマジックインキの人気は高いが、両用書きタイプのペンとしてはそれほど認知されていない」という。後発となってしまった両用書きのペン市場に、満を持して投入した切り札がマジェスターなのである。


 鉛筆やシャープペン、ボールペンなどの筆記具市場はすでに成熟した市場でもある。商品そのものの魅力も大事だが、付加価値を付けなければヒット商品は生まれない。その中で塗り絵をセットにしたり、バリエーションを増やしたりと各社しのぎを削っているのだ。2007年のヒット商品は、こうした競争の中から生まれるはず――。2007年最初のイベント会場でそう感じた。

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