Hamachiを使ってセキュアにVNCGeek to Live

フリーのVPNソフト「Hamachi」と遠隔操作ソフト「VNC」の組み合わせで、安全に、コンピュータを遠隔操作する方法を紹介。(Lifehacker)

» 2007年03月02日 13時58分 公開
[Gina Trapani,Lifehacker]
LifeHacker

 自宅のコンピュータに保存した電話番号を、会社から参照したいと思ったことはないだろうか。友人宅でメディアサーバの設定を頼まれ、ほかに管理する人もいなくて外から操作する必要に迫られたことは? あるいは、遠くに住む母親から、Flickrの使用について助けを求められたことはないだろうか。ご存じのように、Virtual Network Computing(VNC)を使えば、離れた場所にあるコンピュータをインターネット経由で遠隔操作できる。だが、VNCはセキュアなプロトコルではない。加えてリモート側のマシンが、あなたには制御できないファイアウォールの向こう側にある場合、VNCは役に立たない。

 しかし、VNCと仮想プライベートネットワーク(VPN)アプリケーションのHamachiを使えば、どんなOSの組み合わせでも、プライベートネットワーク経由であらゆるコンピュータを遠隔操作できる。今回は、VNCとHamachiというリモートコンピューティングの「チョコレートとピーナツバター」のようなコンビを使い、フリーかつ安全に、そしてクロスプラットフォームで、インターネットを介してコンピュータを操作する方法を紹介しよう。

 VNCについて前回触れた際、一部の読者から「なぜLogMeIn.comのような、設定の容易なソリューションを使わないのか?」と質問を受けた。その理由は主に、VNCがクロスプラットフォームかつフリー(「自由」の意味。後から有料製品の購入を迫られるようなこともない)だからだ。Mac、Linux、Windowsに対応し、サードパーティー提供の仲介サービスでは得られない、細かなレベルのコントロールが可能だ。ただし高度なネットワーキングの概念が多少なりとも介在していることは確かであり、LogMeIn(偶然にもHamachiのオーナーが提供しているサービス)も素晴らしいと聞いているので、LogMeInの利用に反対するものではない。

 Hamachiを使ってVNCを設定する心構えができたら、いざ、取り掛かろう。

1. Hamachiネットワークを作る

 Hamachiを使ってVPNを構築する方法は、以前、詳しく紹介した。操作する側のコンピュータと、される側のコンピュータの両方に、Hamachiをインストールしておく必要がある。そしてそれらを1つのネットワークに参加させる。Terminalに四苦八苦するのを避けたいMacユーザーは、デスクトップアプリケーションのHamachiXを使えば、ポイント&クリック方式で新しいプライベートネットワークを設定できる。

 設定が終わると、1つのHamachiネットワークの中に、あなたが設定したコンピュータが現れる。Hamachi専用IPアドレスが割り振られているはずだ。

2. サーバに覚えやすい名前を付ける

 いったんVPN上にコンピュータを置くと、VNCサーバに簡単にアクセスできるようにしたくなる。Hamachi専用IPアドレスをそのまま打ち込んでもいいが、「home-mac」や「workpc」など、覚えやすい名前を付けたい人は、コンピュータのhostsファイルに、IPと対応する名称を追加する。例えばVNCサーバのIPアドレスが123.456.789.0で、それに「workpc」という名前を付けたければ、下記のようにする。

▼Windows

  • メモ帳やテキストエディタで、下記のいずれかのディレクトリの中にある「hosts」というファイルをオープンする

Windows XP/Vistaの場合:C:\WINDOWS\SYSTEM32\DRIVERS\ETC

Windows 2000の場合:C:\WINNT\SYSTEM32\DRIVERS\ETC

Windows 98/MEの場合:C:\WINDOWS

  • hostsファイルに下記のようにIPとサイト名を追加

123.456.789.0 workpc

  • 保存して終了

▼Mac OS/X

  • Finderで、Goメニューから「Go to folder」を選ぶ
  • 「Go to the folder」ダイアログで「/etc/」と入力
  • /etc/フォルダのウィンドウからテキストエディタでhostsファイルを開く
  • hostsファイルに下記のようにIPとサイト名を追加

123.456.789.0 workpc

  • 保存して終了

3. VNCサーバとクライアントを設定する

 VNCのサーバとクライアントの設定方法はこちらの記事で紹介した。制御される側のコンピュータでサーバを走らせ、制御する側のコンピュータ上でVNCビューワーを走らせる。Mac、PC、Linux用に、フリーのVNCクライアントとサーバソフトウェアが提供されている。

4. Hamachiプライベートネットワーク上のコンピュータだけにアクセスを制限

 VNCサーバに接続するためには、使用するポート(デフォルトで5900番)を、自分のコンピュータのソフトウェアファイアウォールで開いておく必要がある。またHamachiとそのIPアドレスを使う場合、Hamachiネットワーク上のコンピュータだけがそのポートにアクセスできるように制限をかけることで、セキュリティのレベルを引き上げることができる。ファイアウォールの設定方法は製品によって異なるが、Windowsファイアウォールの場合は、「例外」タブで、下の画面のようにVNCサーバを例外として選ぶ。

 「編集」ボタンを押し、そのVNCサーバにアクセスを許可されたIPアドレス――つまり、閲覧側コンピュータのHamachi IP――を指定する。

 悲しい(そして驚いた)ことに、Mac OS X内蔵のファイアウォールは、WindowsファイアウォールのようなIPのレンジ指定に対応していない。ワイヤレスルータにVNCサーバ接続のための穴を開けたい場合はこちらを参照してほしい

5. セキュアな暗号化プライベートHamachiネットワークを通してVNCサーバに接続

 実際に接続するときは、まずVNCサーバと閲覧する側のコンピュータがどちらもHamachiネットワーク上にあることを確認しておく。閲覧側コンピュータのVNCクライアントで、サーバ名を入力してOKをクリックする。

 下の画面は、MacとWindows XPマシンにVistaからVNC接続した状態だ(クリックで拡大:拡大画像はかなり大きいので注意)。

 これで完了! セキュアな暗号化接続で、自分のコンピュータを遠隔操作できるようになった。

 VNCが好きな人は、こちらの記事も参考にするといい。母親にシングルクリックVNCサーバをメールで送って、母親のマシンを自動的に閲覧側コンピュータに接続させる方法を解説したものだ。

 Hamachiを使えば、どんなサーバ接続もセキュアに行える。個人のWebサーバ自宅のFTPサーバ自宅のWiki、Windowsの共有フォルダなどへのセキュアな接続にも使えるし、インターネット経由でリモートのiTunesライブラリから音楽を聴くといった用途に使うこともできる。

 あなたのお好みの遠隔操作/VPNソフトは? コメントを寄せて欲しい。

本稿筆者ジーナ・トラパーニはLifehackerのエディター。HamachiとVNCの組み合わせは最高だと考えている。Lifehacker上で毎週水曜と金曜にGeek to Liveコラム(フィード)を連載中。



この記事は、Lifehackerの発行元である米Gawker Mediaの許可を得て、アイティメディア株式会社が翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。

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