インタビュー
» 2007年11月12日 12時30分 UPDATE

田口元の「ひとりで作るネットサービス」探訪:「twitterMobile」はどうやって生まれたのか――荘野和也さん (1/2)

マークアップエンジニアとして社会人のスタートを切った荘野和也さん。HTMLやCSSだけでなく、JavaScriptやXUL、PHPと活躍の場を広げていった荘野さんの仕事術とは。

[田口元,ITmedia]

 ひとりで作るネットサービス──第18回目はTwitterを携帯電話から更新できる「twitterMobile」、今見ているページのソーシャルブックマークの件数をFirefoxのステータスバーに表示する「SBMカウンタ」などを作っている荘野和也さん(21)にお話を聞いた。「プログラミングを本格的に始めたのは社会人になってから」という荘野さんは、どのように技術を習得し、サービスの開発に活かしているのだろうか。

優しいamachangにJavaScriptを教わる

st_tm01.jpg 「twitterMobile」「SBMカウンター」などを作っている荘野和也さん

 「amachangは優しいですよ。どう使ったらいいかだけではなくて、なぜそういう風に動いているのかまで、詳しく丁寧に説明してくれました」。今年の4月にガイアックスに入社した荘野さん。隣の席だったのはJavaScriptによるプログラムの開発者として知られる“amachang”こと天野仁史さんだった(2007年にサイボウズ・ラボに転職)。

 入社したのはHTMLやCSSを書くマークアップエンジニアとして。プログラマーではない。「マークアップは好きですよ。A型なので、細かいところまで作りこめるというか、どちらかというとストリクトな(厳密な)コードが好きですね。きっちりインデントが揃っていないと気持ち悪い」。荘野さんはそう語る。

 しかし昔からプログラミングにも興味があった。中学生のころは自分が作ったホームページにBBSをつけるためにCGIをいじっていた。高校卒業後に入学した専門学校でも、PHPでスケジューラを作るクラスに参加したこともある。ただ、本格的なサービスを作るほどのスキルはなかった。

 ガイアックス入社後、本格的にプログラミングをやってみようと思ったのは、Firefoxには自分で機能を追加できると知ったとき。いわゆる拡張機能である。「XUL(ずーる)」という言語とJavaScriptを使えば、自分のブラウザに便利な機能を実装することができるかもしれないと知った。

 思いついたのは、自分が見ているページの「はてなブックマーク件数」をFirefoxのステータスバーに表示する拡張機能だった。自分でもはてなブックマークをよく使っていた。ブックマークの件数ははてなが提供するツールバーをインストールすれば確認できたが、スペースを取り過ぎていたし、荘野さんがあまり使わない機能もついていた。

 サービスのアイデアはすぐに固まった。どうやったらそれを実現できるのか、必要な知識をインターネット上から仕入れてコツコツ作っていった。Firefoxの仕組みを調べ上げ、はてなが提供するAPIについて勉強した。XULはXMLだったからよかったが、JavaScriptには苦戦した。「その頃はプログラミングの基本が、全くといっていいほど分かっていなかったのです。『?』と『:』を使う記法も知りませんでした」

 ただ、ラッキーなことにJavaScriptのエキスパートがすぐ隣にいた。amachangこと天野さんである。天野さんの手が空いているときを見計らって質問した。天野さんの説明は分かりやすく、疑問が次々と氷解していった。

 そうして完成した「はてなブックマークカウンタ」はリリース後、大きな反響を呼ぶ。はてなブックマークでも「これはかなり使える!」「はてなバーより役に立ちそう」といったコメントが寄せられたのだ。サービスをリリースすることによって、ユーザーの声を直接聞けたことがうれしかった。もっとサービスを開発してみよう、という意欲も湧いてきた。

「最速インターフェース研究会」の中の人に鍛えられ、「SBMカウンタ」につながった

 「はてなブックマークカウンタ」でFirefox拡張機能の“開発のコツ”をつかんだ荘野さんが次にチャレンジしたのが、livedoor Readerの購読者数をFirefoxのステータスバーに表示する拡張機能だった。livedoor Readerに目をつけたのは個人的にもよく使っていたからだ。「はてなブックマークカウンタ」の2週間後に「LDRカウンタ」としてリリースした。

 しかしリリースしてすぐに「このLDRカウンタの実装はひどいね」と言われていることを知った。そう言っていたのはブログ「最速インターフェース研究会」を運営するmala氏だった。mala氏はlivedoor Readerの開発者でもある。友人を通じてmala氏の言葉を聞いた荘野さんはショックを受けた。すぐに彼がnowaで運営しているブログ「辛辣インターフェース評議会」を見にいった。

 「最速インターフェース研究会は前から読んでいました。厳しい人だな、という印象を持っていたのでどんなことを言われたのか心配でした」。荘野さんがmala氏のブログを見にいくと確かに「無意味に富豪的すぎる実装だったのでゼラチン吹いた」と書かれていた。しかしmala氏は批判だけで終わることなく、コードを添削してアップしてくれていた。「添削してくれたあとのコードはやっぱりすごく美しくて感動しました」

 これがきっかけになり、mala氏と荘野さんはTwitterを通じて「LDRカウンタ」のコードについて議論をするようになった。mala氏のフィードバックをもとに荘野さんは「LDRカウンタ」のコードを書き直して再度公開した。後日mala氏とはamachang主催のTwitterオフで出会うことになる。「あのときのことを伝えて握手を求めました。すごく優しい方でした」。荘野さんはmala氏の印象をそう語る。

 こうした経験を経て2007年8月に開発したのが「SBMカウンタ」である。この「SBMカウンタ」では「はてなブックマークカウンタ」「LDRカウンタ」の機能に加え、del.icio.usのブックマーク件数もあわせて表示することができた。これまでに貯めたノウハウが功を奏して開発は2〜3日で終わった。この「SBMカウンタ」は窓の杜でも取り上げられ、多くの人に使ってもらっているという。

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