ToDo管理ツール「Remember The Milk」誕生秘話――Gmailから着想RTM開発者来日インタビュー

高機能なToDo管理ツール「Remember The Milk(RTM)」。創設者のOmar KilaniさんとEmily Boydさんがオーストラリアから来日した。RTMが生まれた経緯や、これからの展望についてのお話を聞いた。

» 2008年01月23日 16時25分 公開
[田口元,ITmedia]

 高機能なToDo管理ツールである「Remember The Milk(RTM)」。創設者であるOmar KilaniさんとEmily Boydさんが1月21日に、オーストラリアから来日した。RTMが生まれた経緯、これからの展望について、サイトデザインと広報を担当するEmilyさんにお話を聞いた。

「Remember The Milk」とは

 Webベースの無料ToDo管理サービス。“やらなくてはいけないこと”をタスクとして設定し、実行したら消していく。ユーザーインタフェースにはAjaxを多用しており、ほとんどのシーンで画面のリロードなしで入力、閲覧が可能だ。ほとんどの操作で「アンドゥ」(取り消し)が可能なのも特徴。2007年7月に、日本語など40カ国語に対応した。


OmarさんとEmilyさん。Omarさんが持っているぬいぐるみは一体?

──早速ですが、RTMを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

 開発を担当するOmarと私は学生のころに出会いました。Omarはエンジニアで、私もWebを作ったりしていて、すぐに意気投合したんです。私は2000年ごろからWeb制作を始めたのですが、すぐに自分でもコードを書きたくなりました。それから、Web上で使える子供向けのホームページ製作ツールなどを作っていました。

 そして2004年、Gmailが登場しました。当時はAjaxが流行りだした頃でした。Gmailのインタフェースは衝撃的で、「私たちもああいうものを作りましょうよ!」と盛り上がったものです。

 ToDo管理ツールを作ったのは私がタスク管理に悩んでいたからです。いろいろやりたいことがあるのですが、どうにもうまく片付かない。そうした悩みを解決してくれるツールが欲しかったのです。

 RTMという名前は、人はよく牛乳を買うことを忘れますし、直感的でいいかな、と思いました。日本人もよく牛乳を買い忘れるのかしら(笑)。

 開発は基本的にはPHPとPostgreSQLを使っていますが、JavaScriptも多用し、バックエンドではpythonも使っています。デザインを担当する私はPhotoshopとFireworksをよく使います。

 それから、全く宣伝などをしていないのですが、RTMは世界中で多くの人に使われるようになりました。これには私たちもびっくりです。クチコミの力ってすごいですよね。

──RTMで目指しているものは何でしょう? 他のツールと比べてどこが良いと思いますか?

 私たちはRTMを「どこからでもアクセスできるツール」にしたいと思っています。ToDo管理ツールだったらそこはとても大事です。だからモバイル版も作ったし、Windows Mobileとも同期できるし、Gmailとだって連携できるようになっています。また最近発表したプロ版ではiPhoneからもアクセスできるようになっています。

 こうした機能はユーザーからのフィードバックをもとに作ることもあるし、ただ単に自分達が作りたい! と思って作るときもあります。私たちはRTMをパワフルなツールにしたいので、これからも便利でカッコいい機能を追加していきたいと思っています。

 みなさんもRTMで使いたい機能があったらぜひ教えてください。メールでもいいですし、RTMには掲示板もあります。今は英語版だけですが、日本のユーザーも多いので日本語版の掲示板を作ってもいいかな、と考えています。

──そういえば日本語版の公式ブログがありますね。ほかの国でもこのような展開をしているのでしょうか。

 いえ、今のところ日本だけです。中国やほかの国からも要望があるので検討はしています。日本語版のブログを立ち上げるにあたっては、我々のパートナーであるHiroshi(日本語ブログを運営している宮崎博司さん)に助けてもらっています。

 彼は前からRTMについて自分のブログで記事を書いてくれていて、それを知っていた私たちが協力を求めたら快く引き受けてくれました。我々のブログを翻訳してくれるだけでなく、日本のユーザーに向けて便利なTipsを紹介してくれているので是非読んでみてください。

──RTMを開発・運営する上で苦労している点はどういったところでしょうか。

 とにかく人が足りないですね。RTMを始めた当初は2人とも別の仕事もしていたのですが、いまはフルタイムでRTMを運営しています。いろいろやりたいことがあるのですが、どうしても2人なので手が回らないことが多いですね。開発もしたいですし、サポートもしなくちゃいけないし……とにかく大変です。

Omarさんが持っていたのは“新メンバー”のボブだった――

 あっ、でも、最近新しいメンバーが加わりました。Omarがずっとコードを書いてくれるメンバーが欲しいと言っていたので。そのメンバーですが……彼です。名前をボブといいます(サッとぬいぐるみを取り出すEmilyさん)。

 彼はおサルさんなのですが、コードも書いてくれるのです。たまにバナナをあげると喜んで仕事をしてくれるので助かっていますよ(笑)。

──ユーザーからはどういったフィードバックがありますか?

 「RTMで人生が変わった!」という声をもらいます。とても嬉しいですよね。私たちもRTMで人生が変わりましたが(笑)。

 それからユーザーの使い方に学ぶことも多いです。例えば、スマートリスト機能の使い方。これは検索条件を保存しておけるリストです。私たちはこの機能をちょっとしたものと思って追加したのですが、思いのほかたくさんの人に使われていることにびっくりしました。ユーザーによっては私たちが考えもつかないような複雑な条件式を設定して使っているようです。使いこなしてもらってうれしいですよね。

──RTMの今後の展望を教えて下さい

 新機能については秘密です(笑)。でもプロアカウントを作ったことは大きいですね。年間25ドルで便利な機能を使うことができます。サービスから収益をあげることも大事なので、有料ユーザーのために機能を充実させていくつもりです。

──確かに収益化は大事ですよね。今回はありがとうございました!

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