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» 2008年04月11日 15時09分 公開

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:早くしてくれ――決断先延ばし症候群

こんないいことなのに、グジグジ言って対応しない。すぐにやっても悪くないし、お金もかからない。そしてすごく簡単。「ほほお、いいね」なんて生返事はするが、「上司の許可がいる」などと決断を先延ばし。こういう人たちをよく観察すると、いくつかの種類に分けられるのだ

[樋口健夫,ITmedia]

 世の中で何がイライラするかと言えば、立ち上がりの遅いPCと、立ち止まっているPCだ。20世紀は許せた。しかし、21世紀まで相も変わらず続くとはそもそものコンセプトがおかしいのではないか。超高速で動いているはずのPCの起動に、どうして数分待たなければいけないのか。信じられないほど長い。

 まして、作業の途中で砂時計が出たり、ウイルス対策ソフトがチンタラと検査を開始しすると、もうだめだ。筆者はトイレに行くか、コーヒーを飲むか、別のことを始める。

 判断をしないPCを見ていたら「決断先延ばし症候群」の“患者”を思い出した。社会には、決断先延ばし症候群にかかった人たちが、あちらこちらにいる。あなたの周りにも、必ずいる。

 こんないいことなのに、グジグジ言って対応しない。すぐにやっても悪くないし、お金もかからない。そしてすごく簡単。「ほほお、いいね」なんて生返事はするが、しかし上司の許可がいるなどと理由を付けて決断はしない。こういう人たちをよく観察すると、いくつかの種類に分けられるのだ。

1:決めることができない人

 これは先延ばし症ではない。YesかNoかを決められない“決断欠損症”だ。人事担当者は、この症状の患者を決断するべきポジションに就けてはいけない。もし上司や同僚が決断欠損症だったら、決断を迫るべきではない。むしろ代わりに決断してくれる人と普段から付き合っておこう。

2:よく分からないから――

 何だか知らないが「よく分からない」から決めようとしないという人だ。さらに細分化すると、忙しすぎたり、知ろうとしない人、知りたくない人、知ることができないから、遅らせる人などに分けられる。いかに簡単であっても、こういう人がデシジョンメカニズムの中に1人いるだけで、気が遠くなるほどの決定期間が必要になる。たちが悪いのは、忘れたころに決めてくることだ。

 上司がこのパターンの時は、「あなたに直接影響する問題です」としっかり説明する必要がありそうだ。それでもダメなら、1光年後を待つしかない。

3:すぐに決めては沽券に関わるから――

 昔、このタイプの人間が多かった。最近は少なくなってきたとはいえ、まだ残っている。ただし、沽券タイプの人は、上からの圧力には弱いし、情実に動く傾向があるので、そのあたりを考慮して決断を迫ろう。なお、このタイプの人は「あの時の決断」を恩着せがましく言い続ける傾向があるので、要注意かもしれない。

4:前例がないから――

 前例がないことを理由に振りかざす人がいる。どんなに急速に世の中が変化していても、「新しいことは慎重に」という人は、「よき社風や伝統を守っている」という。こういう人には「Yes〜、And〜」で話すといい。つまり、「確かにあなたの言う通り、伝統を守る必要がある。そして、我々のこの決断も伝統を守るためなんだよ」と。

5:故意や嫌みで――

 これはもう悪意の範ちゅう。どうでもよいことを、気にくわないから遅らせるということも、会社の中では良く見られる。これはもう会社にとって百害あって一利なし。あなたの周りにそんな人がいたら、「君子危うきに近寄らず」である。


 筆者は決断の遅いことが大嫌いの人間だから、先延ばし症候群の人にぶち当たると、とたんにイライラしてしまう。一方、先延ばし者のほうはといえば「何でこんな小さなことで、この程度の遅れで、どうしてそんなに(筆者が)騒ぐのか」と驚くほどあっさりしているのだから、拍子抜けだ。

 とはいえ、仕事が進まないのも問題なので、筆者としてはできるだけせかす。電話なり、メールなり、直接会うなりの正面攻撃でほとんどのケースは解決するが、それでも遅れる場合は、正面攻撃を図りつつ、あえて上役に直行するのも辞さなかった。ポイントは、上役を通した後で、形式的に先延ばししている人が決めた形にすること。これをしないと、気持ちを傷つけてしまう。仕事はこの一瞬だけで終わるのではない。この決断が遅い人とも長く仕事をし続ける可能性があるのだ。

 筆者は営業担当だったが、お客が決定を遅らせるのも我慢ができなかった。どうしたかといえば、何度も何度も客先に足を運んだ。そして、何度も何度も真剣に説得を続けてきた。

 何度も話していると、自分とお客が異なった解釈をしていたケースもあった。そのことが分かって誤解が解けたり、先方の指摘が鋭く、こちら側が見過ごしていたこともあった。そのおかげでトラブルを防げたこともあったほどだ。とにかく決断が遅れているからと言って、放置してはいけないのである。

今回の教訓

決断する人、しない人。迫る人、放置する人の影響大。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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