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» 2008年04月22日 14時20分 公開

アイデア創発の素振り:TRIZ――10分以内に「それ、どうやって実現するか」を思いつく方法 (3/3)

[石井力重,ITmedia]
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素振りしてみた

 筆者が手法を使って実際にアイデア出しを行う。読者は読むだけで、素振り(発想法の疑似体験)ができる。素振りしてみた読者は、ぜひ感想をはてなブックマークのコメントやトラックバックで教えてほしい。

 テーマは先ほどの無理難題「飲まずに気持ちよさを与える自販機」。紙面の都合上、最後の10個だけで発想した。

No. 内容 筆者の素振り
【31】 吸いつく素材を加えよ 吸いつく素材? う〜ん、パス
【32】 色を変えよ 色? そうだ販売機の全体の色を簡単に変えられるようにしよう。夏は涼しげ、冬は暖かに。
【33】 質を合わせよ 質? これも、パス
【34】 出なくさせるか、出たものを戻させよ 出なくさせる? パス
【35】 温度や柔軟性を変えよ 柔軟性を変える? パス
【36】 固体を気体・液体に変えよ 気体? パス
【37】 熱で膨らませよ 熱? そうだ、夏の日中、自販機の上からビーチマットのようなバルーンが膨らんでせり出し、日傘のように、販売機の上に日陰ができるのってどうかな。冷却効率が良くなりそうだし、買う人も炎天下の日中で、日陰の下に入りたいんじゃないかな。
【38】 「そこを満たしているもの」のずっと濃いものを使え 濃いもの? それって例えば……冷気をむちゃくちゃ強くすること? そうだ、凍った缶ジュースの販売機はどうだろう。灼熱(しゃくねつ)の真夏に、飲む以外のニーズも出てきそうだ。
【39】 反応の起きにくいものでそこを満たせ 反応の起きにくいもの? これもパスだな。
【40】 組み合わせたものを使え 組み合わせ? じゃあ音楽機能をつけてみる? あ、そうだ、ジュークボックスの機能をつけてみるか。買った飲み物を飲みながら、もう300円入れて好きな音楽をかける。スケートリンクや公園ならば、あり得るかも。

 こんな感じで、結構アイデアが出る。初めての時にはもっとパスしてもいい。40を素早く見ていって、「あ、これっ。関係しそう」と、引っかかるものが2〜4つくらいあれば合格だ。なお、前回のSCAMPERと同じく、2度目以降は驚くほど早くできる。また、SCAMPER同様にリストをカード化して、かるたのように、みんなでアイデアを言い合うのも楽しい。

世の中にはパターンでは表現できないものが1%存在する

 筆者はTRIZの専門家から詳しいことを教えてもらう機会が幾度かあった。TRIZを作った人々が分析した特許は非常に膨大であったが、その99%が40のパターンで表現できたと言われている。

 逆に考えると「世の中にはパターンでは表現できないものが1%存在する」とも言え、人の知性のロマンチックな可能性をTRIZ創設者らが示唆しているように思えてならない。真偽は定かではないが、筆者は少なくともこう考えている。目の前の100の課題に対して、この40個のパターンを使えばほとんど(99%)、何かしらの解決コンセプトが発案できる。解ける問題は効率的にどんどん発案し、人間の知恵を絞るしかないこと(1%)にぜいたくに時間を使いたいものだ。

 前回は企画系、今回は技術系のトリガーリストを紹介した。このほかにも、発想のトリガーセットとして有効なものがきっとあるにちがいない。ほかに「○○分野の発想トリガーになりそうなものがある」という情報があればぜひ筆者まで。

著者紹介 石井力重(いしい・りきえ)

著者近影

 事業のアイデア創造支援や技術開発をサポートする事業化コーディネーター。仙台のベンチャー企業デュナミスが事務局を務める創造性育成ツール開発プロジェクトでは、プロジェクトリーダーを務めた。このプロジェクトで誕生した新商品が「ブレスター」である。みやぎものづくり大賞(2007)で優秀賞を受賞。社会人院生として、東北大の博士課程にも在籍、新事業創造マネジメントや創造工学を研究。Webサイトは「石井力重の活動報告」


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