インタビュー
» 2008年05月23日 11時00分 UPDATE

もう大丈夫、あなたを救う「うつ対策119番」:「ツレうつ」的闘病のコツ――あきらめてラクに【治療開始編】 (1/2)

ある日突然、自分のツレ(夫)が「死にたい」とつぶやいた――。『ツレがうつになりまして。』は、そんな彼のうつ闘病生活を、妻の細川貂々さんがユーモラスにつづったマンガだ。夫婦に聞いた実体験から、今回は発覚〜治療開始時のコツを紹介しよう。

[豊島美幸,ITmedia]

 「死にたい」。ある日突然、自分のツレ(夫)がそうつぶやいた――。そんな夫のうつ闘病生活を、妻でマンガ家の細川貂々(ほそかわ・てんてん)さんがつづったものが、2006年3月発行の『ツレがうつになりまして。』(通称『ツレうつ』)だ。2人にうつと向き合うときのコツを聞いた。

うつで主夫になったツレさん、大黒柱になった細川さん

 本題の前に、2人の背景を説明しよう。細川さんがペンを握ったのは、半ば使命感から。結婚9年目の仲むつまじい夫婦がいきなり放り込まれたうつと向き合う生活は、うつに対する周りの誤解や無理解を痛感する毎日でもあったという。

 細川さんはそこで、「うつを正しく知ってもらう必要がある」と一念発起。2004年の治療開始から1年半ほどたち、ツレさんの症状が軽くなってきた2005年の夏ごろに書き上げた。マンガはさらに、読者などの強い要望から『その後のツレがうつになりまして。』という続編を出し、ヒットした。

「ツレうつ」的闘病のコツ(全4回連載)
タイトル
治療開始編 「あきらめてラクに」
治療中期編 「できなくて当たり前」
回復期編 「死にたくなったら『病気のせい』」
社会復帰編 「ムカつくけどしょうがない」

 うつで夫婦の社会的役割は一変する。マンガがヒットした細川さんはマンガ家としてブレイク。治療に専念するため、外資系IT会社を退職したツレさんは、大黒柱の妻を内助の功で支える「スーパー主夫」(『ツレうつ』より)になった。

 ツレさんがうつと診断されたのは2004年初め。あれから4年が過ぎた。闘病前に比べ、妻は「夫を気遣うように」、夫は「(妻に)頼れる部分は頼るように」なり、2人の絆はいっそう深まったという。当時ツレさんは、なぜ発症したのだろう。

本人は「体調不良」でも、周りが見て疑わしきは説得して病院へ

mt_te1.jpg 終始、おだやかな表情だった細川貂々さん

 「まさか自分がうつになるなんて……。いまだに原因は分かりません」と、ツレさんは言う。発病前のツレさんは、「やる気があればできるはず」という信条を持つ「スーパーサラリーマン」(『ツレうつ。』より)。「常に次の目標を立てて実践。達成したら次の目標を立てて突き進む性分」だった。人員削減の一途をたどる職場では、人が減るのと反比例し、ツレさんの仕事量は増える一方。ある時期から常にオーバーフローになった。

 激務をこなそうと、ツレさんはしゃにむに働き続けた。ところがそのうち気持ちの落ち込みが続き、食欲がなくなり、夜眠れなくなった。その状況で仕事をするから、今度は凡ミスが増える――。そんな悪循環に陥った。そしてある日、突然「死にたい」と細川さんにつぶやいたのだ。

 心配した細川さんは「病院に行って」と何度も頼む。それでも「ただの体調不良」と、なかなか病院に行こうとしなかったツレさんは、細川さんから「行かないと離婚!」と、最後の切り札を出され、ようやく重い腰を上げる。下された診断は「うつ」だった。

 ツレさんは病院に行くまでの間、「まさか自分がなるはずない。ただの体調不良」と信じる一方で、「もし万が一、うつだったらどうしよう……」と不安もよぎり、どうしても病院に行けなかったという。

 「もしあのとき病院に行かなかったら、症状はもっと悪化してたと思います」と、細川さん。「本人が体調不良と主張しても、周りの人が見て異常だったら、とにかく病院に連れていってください。悪化するだけですから」とアドバイスする。

 それでも本人がどうしても病院へ行きたくないと言い張ったら、周囲はどうしたらいいのだろう。「病院に行きたくないあまり、適当な理由をつけてはぐらかそうとしましたからね」と言うツレさんに対し、「大丈夫です」と、細川さん。「以前ならこれができたでしょ。でも今はできないよね。あれもできたでしょ。でも今はできないよね……といった具合に、1つ1つおかしいことを挙げていくと、最後にはちゃんと納得した」そうだ。

 また、本人を説得するときは「うつと診断された瞬間を境にすべてが変わってしまう」と思わせ、精神的に追い込むような強い言い方を避けて、「あくまで自然に伝えてほしい」と、ツレさん。うつの人と話をするとき、周りの人はつい精神的に追い込むような強い言い方をしてしまうことがある。その原因と対策については、次回の【治療中期編】で触れるつもりだ。

 さらに、うつかどうか病院で診てもらう際に、しておくべきポイントがある。

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