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» 2008年09月02日 12時00分 UPDATE

なぜ陥る? 「うつ」のメカニズム:「つらすぎる過去に縛られうつ」を抜け出すには? (1/2)

大声を出されただけでその声にビクビクしたり、誰かが話していると悪口を言われている気がしたり――。こうした人は、過去の深く傷ついた経験と似た出来事に条件反射し、うつに陥る癖がついているかもしれません。どうしたら抜け出せるでしょうか?

[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]

 なぜあなたはうつや不安な状態に陥るのでしょうか? 「なぜ」の正体が分かれば抜け出せるかもしれません。

 前回までお話ししてきた「なぜ」は、「心配しすぎ」「かまってほしさ」の2パターンでした。今回は3つ目のパターン、深く傷ついた過去が引き起こすうつについてお話しします。

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大声にビクビク――うつを引き起こす「条件反射」がある

 3つ目のパターンは、ある特定の出来事が引き金になって、症状が起きるというものです。例えば、上司は仕事について注意しているつもりなのに、特に今の若い人たちに多いのですが、自分の人格そのものを否定されたと思ってしまって、ビクビクする人もいます。

 あるいは、誰かが大きな声を出しただけで、怒られているんじゃないかと感じるのも、このパターンです。「(大声で)がんばれよ!」と言っているだけなのに、怖くなってしまう。上司は励ますつもりで言っているのに、怒られているように感じてしまうんです。

 これらは思い込みからだったり、ベルが鳴っただけで条件反射でよだれが出る“パブロフの犬”と同じだったりするのです。ご存知ないかもしれませんので“パブロフの犬”を説明しましょう。犬にエサを見せると、犬は無条件によだれが出ます。こうした先天的な反射行動を「無条件反射」と言います。

 パブロフというロシアの心理学者は、無条件反射を実験に利用しました。パブロフは犬にエサを与える前に必ずベルを鳴らすようにしたんです。これを「条件刺激」と言いますが、ベルの音という条件刺激を与え続けると、それが後天的な「条件反射」となって、犬はエサがなくてもよだれが出るようになります。

悪口、暴行、いじめ、被災――傷ついた経験が条件反射という「癖」を作る

 このように、例えば、誰かがちょっと自分の悪口を言っただけで落ち込んでしまうとか、場合によっては、自分の悪口は言われてないのに、ほかの人の悪口を聞いているだけで、きっと自分の悪口も言っているに違いないと思い込み、落ち込んでしまうことがあります。ある特定の出来事で反射的症状が出てしまうのです。

 例えば、出社して仕事が山積みだと、その量を見ただけで落ち込んでしまう。家に帰ったら、子供が部屋を散らかしているのを見て落ち込んだり、ダンナさんが帰ってきていないのを見て落ち込んだり、というのも同様の症状です。

 こんな条件反射もあります。

 ある女性は、男性と付き合っても長続きしないという悩みがありました。なぜか深い関係になれない。振り返ってみると、実は子供の時に性的虐待に遭っていて、それ以来、男性を生理的に受け付けなくなっていたのですね。目の前にいる彼氏はすごくいい人だし、自分のことも理解してくれると頭では分かっているのに、深い関係になろうとすると生理的に反射して拒絶してしまう。

 また、地震で怖い思いをすると、ちょっとモノが落ちただけでもビクッとなったり、亡くなった母のことを考えただけで気分が、ということもありますね。克服してもいい時期かもしれないのに、ある出来事が目に入った瞬間、それが引き金になって症状が起きます。この症状は、原因となる出来事があった後に、比較的すぐ起きます。そして、症状が出た後、ずっと続いている場合が多いです。

 この症状は、過去になにかしらトラウマ的な出来事があったはずです。よくあるのが、小さいころ、お父さんにひどく怒られて怖くなり、上司や年上の人に対して自分の意見を言えなくなってしまったというケースです。しかし近頃は怒鳴るお父さんが少なくなってきているので、最近はどちらかというと、学校でいじめにあって、それで自分の気持ちを言えなくなってしまったというケースが増えてきています。

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