その9 さて広告業界の打つ手は?ビジネス力1分間トレーニング

ある広告代理店は多くのテレビ広告を独占してきました。しかし近年、広告媒体の多様化が急速に進み、テレビ広告にかける予算が縮小。その代理店では今後の対応を考えるために、緊急に経営会議が開かれました。

» 2008年09月04日 15時00分 公開
[西村克己,ITmedia]

Question

 広告代理店の三国堂は、テレビ放送局との密接な関係で、多くのテレビ広告を独占してきました。しかし近年、広告媒体の多様化が急速に進んでいます。インターネットを使った広告が増え、テレビ広告にかける予算が年々縮小しています。

 そしてインターネットテレビが普及するというウワサもあり、三国堂は今後の対応を考えるために、緊急に経営会議が開催されました。

 さて、どのようにすればいいでしょうか?(複数回答可)

  1. 今までのテレビ放送局の恩があるので現状維持
  2. インターネットテレビへの対応を積極的に進める
  3. 他社の動きが出るまで静観する
  4. インターネットテレビ市場が伸び始めたら考える

Answer

今回の問題は『論理力1分間トレーニング』の12問目から出題

 今までの市場が永遠に続くとは限りません。たとえば写真は、デジタルカメラが主流になり、銀塩カメラ市場縮小しました。市場の動向を一歩先取りした動きが必要です。

 (1)の現状維持ではなく、(2)のインターネットテレビへの対応を進めるべきでしょう。(3)の他社の静観、(4)の市場が伸び始めたら考えるでは、一歩出遅れるでしょう。回答例は(2)です。

解説:ミッシー(MECE)をしっかり身につけよう

 モレがあるとチャンスを失います、ダブリがあるとムダや混乱が発生しやすいのです。全体を把握するとき、ミッシー(MECE=Mutually、Exclusive、Collectively、Exhaustive)であることに留意します。ミッシーとは、「モレやダブリがない状態」という意味です。

 何か新しいことをはじめるとき、まずミッシーで全体を見渡す習慣をつけましょう。全体を見渡してから、優先順位(プライオリティ)を考えて、重要と思われるところを選択して垂直思考します。

 ミッシーを考えるコツは、「それ以外」「反対」「裏表」「+要因と−要因」など、他に何かないかを問いかけることです。それ自体に気をとられすぎると、垂直思考になって視野が狭くなってしまいます。

 時間とともに、新しい分野が登場すると、モレが発生してきます。たとえば、広告業界において新しいインターネットテレビ広告を放置していたのでは、ビジネスチャンスを失うかもしれません。ときどき周囲を見渡して、モレが発生していないか、ダブリがないかを問いかけましょう。

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著者紹介 西村克己(にしむら・かつみ)

 岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。

 主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。



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