インタビュー
» 2008年10月09日 08時30分 UPDATE

ひとりで作るネットサービス:【番外編】「PhotoShare」で世界を変える――中島聡さん (1/2)

Windows 95やInternet ExplorerのITアーキテクトとして華々しいキャリアを持つ中島さん。2008年にパートナーの増井さんと起業、iPhone用のリアルタイム写真共有コミュニティ「PhotoShare」をリリースした。個人の創作活動を支援したいと願う中島さんに、その真意や展望を聞いた。

[田口元,ITmedia]

 ひとりで作るネットサービス第32回は、番外編として、iPhone用のリアルタイム写真共有サービス「Big Canvas PhotoShare」を作っている中島聡さんに話を聞いた。ブログを通じて出会ったフリープログラマーの増井雄一郎さんとたった2人で立ち上げたこのサービスは、何を目指しているのだろうか。

mt_share0.jpgmt_share111.jpgmt_share2.jpg (左)PhotoShareのトップページ画面、(中央)「最新の写真」を開くと、最新投稿写真の一覧画面に、(右)編集部が投稿した写真。リアルタイムでアップできた

目指すは、個人の創作活動支援

 「YouTubeだろうが、Flickrだろうが、実際に投稿しているのはユーザーの数%、もしくはそれ以下です。我々が目指す世界ははっきりしています。もっとユーザーが創作活動をできるようにすることです。PhotoShareが目指しているのはユーザーの80%が写真を投稿してくれるコミュニティです」。中島さんはPhotoShareのビジョンをそう話す。

mt_nakatop.jpg

 もっと多くの人がいろいろなものを創造できるようになれば世界が変わるのではないか――。そう中島さんは考えている。大げさにいえば、人類の進化を目指しているともいえる。「中世のルネッサンスでも実際に創作活動をしていたのはほんの一握りの人でした。それでもあれだけの進化がありました。今の時代、インターネットでもっと多くの人が創作活動ができるようになれば、どれだけのことが起きるのか……ワクワクしてきますよね」

 PhotoShareを作った中島さんと増井さん。2人の出会いは2007年10月だった。米国在住の中島さんがセミナーのため来日することを知った増井さんが、彼にメールしたのがきっかけだった。「増井さんはアメリカに来て自分の力を試したいと思っていました。だったら一緒に会社を作らないか、と持ちかけたのです」

 出会ったその日に意気投合し、同日の昼食、夕食を通じて今後やりたいことを議論した。そのあともネットを通じてコミュニケーションをとった。そして2008年4月には、増井さんは中島さんと仕事をするため、ワシントン州に移り住むことになる。

キーワードは「おもてなし」

 中島さんは、米MicrosoftでWindows 95やInternet Explorerを担当したITアーキテクトだ。その後、自ら起業した会社UIEvolutionをへて、2008年3月に増井さんと新会社Big Canvasを立ち上げた。ギークの間で有名なブログ「Life is Beautiful」の運営者でもある。

 Big Canvasのビジョンは、「人々の創作活動を支援するツールやサービスを提供すること」。PhotoShareはその第1弾サービスとなった。AppleのiPhone専用だが「iPhoneにこだわっているわけではありません。個人的には好きですが、ツールは何でもよいのです。現時点でベストなものを選んでいるだけです。2年後にはGoogleのAndroidを使っているかもしれません」

 中島さんがこだわっているのは「おもてなし」というキーワードだ。ユーザーが体験するものすべてが「すごく簡単に創作活動ができる」という同社のビジョンを体現していなくては、と考えている。

 ソフトウェアをインストールし、ネットに接続し、写真を投稿し、ほかの人の作品を見てコメントする。そうしたすべてのプロセスが、ユーザーへのおもてなしとしてコントロールできなくてはいけない。そう感じていた中島さんは、おもてなしを徹底するため、他社が提供するほかのサービスとの連携を一切考えなかった。

 「写真を投稿するサービスというと、Flickrとの連携なども考えられると思います。でもそうすると、システムからサービス自体まで、Flickrに引っ張られる部分も出てきます。そうなると、すべてのユーザー体験をコントロールできなくなってしまうのです」

 だからPhotoShareはまったくのゼロベースで、「iPhoneで写真を共有するのだったらどういうサービスが良いだろうか」を徹底的に考えた。その結果、中島さんと増井さんが行き着いたのが「リアルタイムでの写真共有」という「ユーザー体験」だった。

 「理想とするのは、仕事のために子供のサッカーの試合に行くことができない父親が、母親のiPhoneを通じて子供がゴールする瞬間をオフィスで共有できる、といったことです。これはリアルタイムじゃないといけない。ゴールした数分後には子供の笑顔を見られるという『体験』を提供したいのです」。中島さんはPhotoShareで実現しようとしているユーザー体験をそう語る。

 PhotoShareをあえて既存のサービスで例えるならば、「写真付Twitter」が近いという。Twitterはやっぱりおもしろい、と中島さんは考えている。「あのゆるさというか、気軽さがいいですよね。ブログやメールは、投稿する前にはやっぱり推敲してしまいますし、きちんとしたものを書かなくちゃ、と思うと投稿のハードルがぐっと高くなると思うのです」

 PhotoShareが目指しているのは投稿までのハードルをとことんまで下げること。そういう意味では気軽に投稿するユーザーが多いTwitterのようなサービスが理想だという。

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