インタビュー
» 2008年10月24日 11時20分 UPDATE

ひとりで作るネットサービス:【番外編】目指せ日本発、世界初――相互添削SNS「Lang-8」の学生起業家 (1/2)

中国生まれ、日本育ち。中国語で書いた日記を添削してもらった経験をもとに、日記相互添削SNS「Lang-8」を立ち上げた喜さんは大学院生。日本発で“世界初”のサービスを世界中に広めるため起業し、現在奮闘中だ。

[田口元,ITmedia]

 ひとりで作るネットサービス第33回は、番外編として、日記の相互添削SNS「Lang-8」(らんげーと)を運営する喜洋洋(き・ようよう、24歳)さんに話を聞いた。「日本から世界初のサービスを」というビジョンを掲げる喜さん。在学中に起業し、世界中の人に使われるサービスを運営するに至った経緯はどういったものだろうか。

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「添削してもらうと力がつく」――着想は「Wordに中国語で書いた日記」から

 「日本のネットサービスは、日本国内だけで使われるものが多いですよね。日本発で世界でスタンダードに使われるサービスを作りたいと思いました」。喜さんはそう話す。ただ、彼が運営しているLang-8は違う、と言い切る。「僕が知っている限りですが、日記の相互添削SNSは世界初だと思います」

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 中国籍の喜さんは中国生まれ、日本育ち。まだ大学院生の24歳である。上海の近くの江蘇省で生まれ、4歳で日本に移り住んだ。京都と大阪で人生の大半を過ごしている。ただ大学の時に1年間、母国に留学することにした。

 上海の交通大学に語学を学ぶために留学したが、言葉の壁は厚かった。普段から家庭では中国語を話してはいるが、ニュアンスなどが難しく、よく“外国人”と見抜かれた。せっかく勉強するなら、ニュアンスまで中国人と全く同じように話せるようになりたい、と常々思っていた。

 「そのころに中国語で日記をつけることにしたのです。自分で手を動かしながら文章を作る練習をした方が覚えが早いので。当時はブログなどを知らなかったので、Wordに書いていました」

 そうして書いた日記をルームメイトの中国人に添削してもらっていた。自分が書いたことを添削してもらうことでぐんぐん中国語の力がついていった。日記の添削は学習効果が高いな、と喜さんは実感したという。

 「1年たって日本に帰ってみたらmixiが流行していました。その時にピンと来たのです。SNSを使って日記の相互添削ができたらどうだろう……って。すぐにクラスメイトに相談しました」。彼が相談したのは、同じく京都大学に通っていた学友の松本さん。喜さんは自分でプログラミングができるわけではない。そこで多少はプログラミングができる、といっていた松本さんをあたったのだ。

 「できると思うよ」。喜さんからサービスの概要を聞いた後に松本さんはそう答え、数カ月間でプロトタイプを作ってくれた。OpenPNEというオープンソースのSNSを改造し、参加者がほかの人の日記を添削できる機能を実装した。また、このサービスの利用者は日本人だけではない。サイト自体も多言語化しなくてはいけない。「大学で留学生を捕まえては頼み込んで多言語化を進めました」という喜さん。日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語でメニューやシステムを作り込んでいった。

やれることは全部やる――海外ユーザーを増やす工夫も

 2006年夏から作り始めたLang-8は翌年8月にβ版にバージョンアップし、現在では1万4000人を超えるユーザーを抱えている。その中で日本人の割合は約5割。外国のユーザーはカナダ、米国、中国などに多いという。「ユーザーの言語バランスはとても大事です。日本人ばかりでは成り立ちませんから」と喜さんは指摘する。

 サービスの最大のポイントは、このユーザーの言語バランスだという。ただ、日本にいながらLang-8を海外に広めることはなかなか難しい。今はいろいろな工夫をして海外に広めている。詳しくは企業秘密だそうだ。

 その甲斐もあって、海外のとあるブログに取り上げられた時は一気に3000人もユーザーが増えた。「ただ、まだまだだと思っています。やれることは全部やるつもりです」。喜さんは決意をそう口にする。

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