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» 2008年11月25日 16時31分 UPDATE

ソフトイーサが通信事業、拠点間ギガビット通信のコストを最大20分の1に

拠点間通信の費用を20分の1に――。ソフトイーサは11月25日、広域ギガビットイーサネット専用線サービス「ハードイーサ」を発表した。同一市内の月額利用料が18万円前後から。

[鷹木創,ITmedia]

 拠点間通信の費用を20分の1に――。ソフトイーサは11月25日、広域ギガビットイーサネット専用線サービス「ハードイーサ」を発表した。12月1日に受け付けを開始する。価格は別途見積もりが必要だが、同一市内だと初期費用が6万円から、月額利用料が18万円前後から。提供エリアは当初、東京都、神奈川県などの1都4県で、最低利用期間は1年間。

 ソフトイーサは「PacketiX VPN 2.0」などのVPNソフトを開発するソフトウェアメーカー。物理的にLANがつながっていない離れたオフィス同士を、あたかも同じ社内LANで結ばれているような仮想的なネットワークを構築できるVPNソフトなどを開発している。

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1Gbpsの通信速度、1ミリ秒以下の遅延

 ハードイーサは、1Gbpsの通信速度と1ミリ秒以下の遅延の専用線で拠点間を結ぶサービス。TOKAIのWDM(波長分割多重:Wavelength Division Multiplexing)による長距離光ファイバをはじめ、ほかの通信事業者ダークファイバなどを利用し、これまでの50万円以上したギガビットクラスの専用線接続サービスを安価に提供する。

st_he02.jpgst_he03.jpg (左)登氏。(右)価格の比較

 例えば、同一MA内での専用線接続サービスの月額利用料は、NTT東日本が54万円、NTTコミュニケーションズが194万円、KDDIが312万円、同一都道府県内ではそれぞれ304万円、194万円、312万円、別々の都道府県間で接続する場合は、804万円、531万円、712万円。ハードイーサでは、同一市内が18万円から、同一都道府県が31万円から、別々の都道府県間が38万円からと、最大20分の1程度のコストで専用線を引けるようになるという。

スタンダードタイプは、VPN回線でバックアップ

 サービスメニューは、「バリュータイプ」「スタンダードタイプ」「エンタープライズタイプ」の3つ。速度1Gbpsの回線で2拠点間をつなぐだけのバリュータイプにはバックアップ回線などがついていないが、スタンダードタイプ、エンタープライズタイプには、1Gbpsの回線に50Mbps程度のバックアップ回線をつけた。バックアップ回線はソフトイーサのVPNソフト「PacketiX VPN 2.0」によるVPN回線で、専用線の異常を検知して自動的に切り替わる仕組みだ。なおエンタープライズタイプでは、1Gbpsの回線を2本利用できる。

 価格はぞれぞれ別途の見積もりが必要だが、「スタンダードタイプの価格はバリュータイプに10万円上乗せした程度、エンタープライズタイプはバリュータイプの1.6倍から2倍程度だ」(ソフトイーサ登大遊会長)という。見積もりはハードイーサのWebサイトでできるようになっている。

st_nobo14.jpgst_nobo15.jpg 拠点に設置する回線終端装置。左がVPN回線によるバックアップがつかないバリュータイプ用、右がスタンダード/エンタープライズタイプ

 品質保証(SLA)も設けた。通信速度は片方向で800Mbps以上。双方向合わせて1.6Gpbs以上を保証する。パケットロス率は0.05%以下。「実際のロスは、数千万から数億のパケットのうち1つか2つ」(登氏)。通信遅延は同一市内は約0.46ミリ秒以下、都道府県内であれば約0.81ミリ秒、異なる都道府県間だと0.81ミリ秒〜5ミリ秒。「Windowsのファイル共有だと、遅延が2倍になると、スループットが2分の1になるから、遅延の問題は影響が大きい」。故障は、これらの条件を15分間に渡って満たせなかったとソフトイーサが判断した場合。1カ月の利用料を分単位で返済する。返済額は、スタンダードタイプとエンタープライズタイプの場合はその利用料の2倍、バリュータイプは利用料と同額分となる。

st_nobo10.jpgst_nobo12.jpg 会場(CYBERDYNE本社)と筑波大学を結んだデモンストレーション。左が通常の光回線、右がハードイーサ。平均遅延時間はまさに桁違い

st_nobo11.jpgst_nobo13.jpg こちらも左が通常の光回線、右がハードイーサ。ハードイーサの回線速度は上り下りとも900Mbps前後に達した

 安価にできた理由は、サポートにそれほど力を割いていない点だ。ハードイーサでは「修理がいつ終わるかを保証しない。そのため、スタンダードタイプやエンタープライズタイプではVPN通信によるバックアップ回線をつけた」(登氏)という。また、「大規模なところは日本全国のサービス。料金表を約款に明記し、どこでも同じ料金でサービスを提供する必要がある。どこでも赤字が出ない価格設定にしなければならない」

 ソフトイーサ自身が学生ベンチャーだったこともあり、初期費用が半額になるベンチャー割引やアカデミック割引も用意した。また、6回線で最大10%の複数回線割引、5年間の継続利用で最大10%の長期使用割引も用意した。なお、複数回線割引と長期使用割引は併用できるが、ベンチャー/アカデミック割引と複数回線/長期使用割引は併用できず、割引額の高いほうを適用する。

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そもそもPacketiXでは3.1Gbps出たのに

 登氏によれば、「そもそもPacketiX VPN 2.0の理論値では3.1Gbpsまでの通信速度が出る。だが、物理的な回線速度を超えることができない」ことが問題だったという。例えば、100Mbps程度の回線であれば、どれだけよいVPNソフトでも50〜70Mbpsが限界。インターネットの回線を利用する場合はベストエフォートなので、遅延やパケットロスも避けられなかった。

 PacketiX VPN 2.0を導入していた、同じ筑波大学発のベンチャーであるCYBERDYNEも、インターネット回線で30Mbps程度しか出なかったことに不満だったという。登氏も「MPEG-4の映像を使って、50Mbpsで双方向通信したい場合や、オンラインストレージで大容量のデータを扱いたい場合、大規模な会社だけでなく中小企業やベンチャーも拠点間を1ミリ秒以下、1Gbpsで接続したいのではないか」と推測。同時に管理コストを削減できれば、という思いでハードイーサの開始に至った。

 一方、登氏はハードイーサについて「銀行基幹システムなどのようなミッションクリティカルなシステムには利用するべきではない」という。というのも、利用料や通信速度、遅延に優れるハードイーサだが、SLAの条件やサポート体制などについては必ずしも既存専用線サービスよりも優れているわけではないからだ。「拠点間通信のコストを削減したいが、高品質なサービスを使いたいユーザーに向いている。デメリットを許容し、メリットを得たい人に利用してほしい」

 提供エリアは当初、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県の1都4県。配線工事や保守については、三栄通信工業と東電通が行う。なお、今回の通信事業参入に併せてソフトイーサでは11月1日付けで、通信事業顧問に自由民主党の松田岩夫参議院議員(元IT担当大臣)を招聘している。

st_nobo08.jpgst_nobo09.jpg (左)顧問に自由民主党の松田議員(元IT担当大臣)を招聘。(右)同じ筑波大学発のベンチャーであるCYBERDYNEに先行導入している

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