選挙の風物詩の街頭演説では、国民のそのとき最も関心のあるトピック(景気対策、消費税率、年金問題など)をキッカケに状況を説明し、問題点を明らかにしつつ、自分はこうやって問題を解決するからと訴えています(本当にできるがどうかはともかく)。
立候補者の方々は、聴衆を無視してやみくもに持論を展開しませんし、脈絡なく自分を売り込もうとはしません。ちゃんと共通の話題を持ってきて、「私はあなたの味方だ」と分からせてから切り込んできますよね。そうした準備の上で話しているので、道行く人は、「あ、それは自分に関係がある」「うん、その問題は気になっていたんだ」と気づき、演説者に目を向けるのです。
目に見える反応がなくても、聞いた人が「受け止める、記憶にとどめる、自分なりに考える、(そして演説者に投票する)」ことになれば、かたち上は一方向でもコミュニケーション成立です。
もしあなたが、会社の代表として街頭演説するとしたら、何を話しますか? 何を話せば道行く人を立ち止まらせ、耳を傾けさせることができると思いますか?
くどいようですがコメントが帰ってくるかどうかなんてさまつなことですし、リアクションを外部に期待するのもちょっと違います。そうではなく、
と、意識してみることをオススメします。
その結果、外の人に、
「そんなの、消費者のあたしたちに関係ないでしょ」
「それ、アンタが言いたかっただけじゃないのか」
とソッポを向かれてしまうのか、
それとも、
「そう! そこのところは実際どうなのよ」
「ふむ、そのハナシは詳しく聞かせてほしいな」
と身を乗り出して興味を示すのか。
これは「できる・できない」の問題ではなく、「やるか・やらないか」だけの問題です。
人が、「ちゃんとコミュニケーションできている」と感じる瞬間は、「相手が、自分の話していることをきちんと聞いてくれている」と感じるときです。相手に受け入れられるには、話すよりもむしろ聞き役に回るべきという事実は、普段の人間関係を思い返しても当てはまることです。
消費者は、自ら企業に反応を見せてこないのが普通という前提に立ち、企業がまず聞き役となることからコミュニケーションを始めてみませんか。
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