ため息が出たら笑ってみる――「理由なき笑い」を習慣化「心のスイッチ」で心の状態を変える(1/2 ページ)

箸(はし)が転んでも笑えるのが人間。朝起きた時にただ笑うだけで、心のスイッチをいい状態に切り替えることができます。ため息をついてしまったら、ついたそばから笑いに変えてみましょう。

» 2009年01月26日 09時45分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]

 心の状態は自主的に変えることができる「心のスイッチ」。体、言葉、意識の3つを使って切り替えることができます。前回に続いて体による切り替え術を見ていきましょう。


笑いは有酸素運動 心の状態と免疫力を高める

 声を出したり軽いストレッチをするなどの動作で、心はリセットできるとお話ししました。声を出すことの一環で、笑うことでも心の状態が変わります。

 笑うと深呼吸の3倍から5倍の酸素を取り入れるともいわれ、いい有酸素運動になります。心理的にストレスが軽減されるばかりではありません。寿命が延びたという例もあります。ガンで余命半年と言われた米国人のある女性は、「死ぬんだったら、コメディを観たりしながら朝から晩まで笑って過ごそう」と決意し、そうしているうちに十数年も生き続けたということです。

 笑いは心の状態を変えるだけではなく、免疫力まで高めます。だから、笑うことは非常に大事です。もちろん、TPOはわきまえてください。会議中、みんなが真剣になっている時に、「ふふふ」と笑い出すと、とうとうおかしくなったと思われないとも限りません。会議に入る前に漫才なんかを聞いてクスッと笑って、いい心の状態で会議に臨むといいでしょう。

シャワーを浴びたら、朝起きたら――条件反射で笑う

 私のクライアントに、「朝起きると、今日も仕事がつらいし、きついし、上司は怖いし、人間関係も良くないし、本当に今日も大変な1日が始まるなあと思って、気が重くなるんです」という人がいました。

 その人は、起きた瞬間はまだ何も起こっていないのに、その瞬間から憂鬱(ゆううつ)に過ごすと決めてしまっているのです。さて、その人に私は、「毎朝、ベッドから起きる時に、10秒でいいから笑ってください」と言いました。目が覚めて起き上がる時、「ははは」という具合にです。

 人間はお箸(はし)が転がっても笑える生き物ですので、笑うのに理由は必要ありません。笑えないと思ったら「笑えることもないってのに間抜けにも笑ってるよ」と、自分を客観的に見て笑ってください

 もし隣にパートナーがいて心配な場合には、朝、シャワーを浴びながら笑ってもいい。これは、私も十数年以上続けています。目を覚ます時に笑い、シャワーを浴びながら笑います。だからシャワーを浴びると、「わははははははっ……」と、条件反射で笑っちゃうのです。夜に、「はあ、疲れてるなあ」と思っても、シャワーが当たると自然に笑えてしまう(笑)。これで、いい心の状態に自動的に入るのです。

幸せか惨めかは自分で選んでいる!?

 インドの神秘家にバグワン(和尚)という人がいます。彼は著書『マイウェイ』で、「私たちは毎朝、起きた時に、その日1日を幸せでいるか、惨めでいるかを決めている。そして、私たちの多くが、惨めでいることを選ぶ。なぜなら、そのことに投資しているからだ」ということを言っています。

 朝から爽快(そうかい)で元気がいいと、周囲は「能天気にヘラヘラ笑いやがって」と見る。そうすると、惨めでいることを選ばざるを得ないんですね。彼は「朝だけでなく、一瞬一瞬、私たちは次の瞬間、幸せでいるか惨めでいるかを自分で選んでいる」とも言っています。そして、幸せを選ぶための方法の1つは笑うことだと私は思います。

表情には、心の状態を変える力がある

 顔には80の筋肉があるといわれていますが、表情でも心の状態は変わります。カリフォルニア州立大学の研究で、うつ病の患者さんに幸せそうな表情をしてもらうと、その実験中はうつの症状が軽減したという報告があります。もちろん、これがそのまま治療に使えるわけではありませんが、心の状態が顔の表情から影響を受けるというのは確かなようです。

 鏡を見ながら、どれだけハンサムか美人かを見るのはもちろん大事ですが、いい表情をしているかどうか、ぜひ見てほしいですね。あなたが管理者だったら、たぶん後輩や部下たちが普段の表情を見ているでしょうし、そこから影響を受けます。親だったら子供たちが見ています。だから、どれだけいい表情をしているか、気にかけてみてください。

 実は、私は高校時代はヤンキーでした。

 そして、ヤンキーにはヤンキーの心のスイッチがあります。まず姿勢、動き、発声、呼吸、そして一番大事なのが表情です。ヤンキーの表情というものがありますが、その表情をずっとやっていると疲れます。目の前に同じような雰囲気の人物が現れると、「誰に向かってメンチ切っとんじゃあ!」と、心のスイッチを入れるんですが、彼が通り過ぎると休憩します(笑)。

 また当時、お風呂は銭湯に行っていたんですが、湯船に自分と同年代で、同じ雰囲気の人が入ってくると、心のスイッチが入るわけです。そうすると湯船でリラックスできない。当時はシャワーがないので、桶(おけ)でお湯と水を入れて流すんですが、そういうヤツが自分の後ろにいると、相手にお湯がかかるように、背中越しにわざとザバザバ流すものだから、前の泡は全く流れない。

 このように、実はヤンキーにはヤンキーの心のスイッチがあるのです。生まれた時からヤンキーではなくて、生まれた時はみんなかわいい。でも、どこかで、ヤンキーのスイッチをどう入れるかを学ぶわけですね。

 皆さんにはヤンキーの心のスイッチは必要ないので、安心したかったら、「安心した表情ってどうだろう」と思い出して、そうすればいいのです。楽しい気持ちになりたかったら、楽しい時に自分はどんな表情をしているか、落ち着いているならどんな表情か、自分が「こうなればいい」という心の状態の時の表情はどうだろうと思い出して、その表情にする。そうすることで心の状態は変わります。

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