ジャストシステム製「ホームページ・ビルダー15」はCSSに本格対応、アクセス解析も“作るツール”から“使うツール”へ

ホームページ作成ソフトの定番「ホームページ・ビルダー」の最新版が発売される。今回は初めてジャストシステムが開発、CSSへの本格対応、アクセス解析サポートなど大幅に機能アップしている。

» 2010年10月14日 15時08分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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ジャストシステム「ホームページ・ビルダー15」通常版パッケージ

 ジャストシステムは10月13日、PC/携帯向けサイト作成ソフトの最新版「ホームページ・ビルダー15」を発表した。価格は通常版が1万4800円、ビジネスバリューパックが2万7825円ほか。12月3日に発売される。

 ホームページ・ビルダーはIBMが開発・販売してきたソフトだが、2007年からジャストシステムが販売を代行、2010年2月にIBMからプログラム著作権と商標権を取得した。今回の「ホームページ・ビルダー15」は、ジャストシステムが開発する初めてのホームページ・ビルダーであり、これまでできなかった大幅な改善、機能強化を行ったという。

CSSに本格対応、フルCSSテンプレートを搭載

 大幅な機能改善の筆頭が、CSSへの本格対応だ。これまでのホームページ・ビルダーでWebサイトを制作する場合、デザインはテーブル組みのレイアウトが基本だった。しかし現在ではデザイン要素はCSSなどスタイルシートに集めて管理し、HTMLではコンテンツを作成する方法が主流になっており、SEO対策の観点からもこのほうが望ましい。ジャストシステムではCSS対応を、「ホームページ・ビルダーの新しい進化を進めるために超えなくてはならない壁」と認識していたということで、自社で開発できる本バージョンでレンダリングエンジンを作り直し、CSSに初めて本格対応することとなった。「テーブル組みのテンプレートもやめるわけではないが、フルCSSへと脱却する」(ジャストシステム コンシューマ事業部 企画部部長 佐藤洋之氏)

「フルCSSプロフェッショナルテンプレート」の例。一般企業、ECショップ、病院、旅館などで使えそうなテンプレートが収録されている

 企業やネットショップで使うことを想定した「フルCSSプロフェッショナルテンプレート」は、CSSでレイアウト・デザインされたテンプレートで、通常版で17セット、バリューパックに28セット収録される。同テンプレートで作成したページは、ページ内のテキストはそのままでページデザインを変更できる「瞬間デザインチェンジ」機能に対応。ページごとだけでなく、サイト単位で複数ページのデザインを一括して変更することもできる。もちろん、ソースを見て書き換えたい人は、CSSエディタでの編集も可能だ。

瞬間デザインチェンジの画面。HTMLファイルを書き換えることなく、レイアウトを変更したり、違うテンプレートに差し替えたりできる

毎日アクセス解析を眺めてほしい

 また、「ユーザーの真のニーズは、ホームページを作成して終わりではなく、そこに集客してニーズを出すこと」という観点から、ホームページビルダー15では、アクセス解析機能の使いやすさにも重点を置いて機能強化を行った。

 「かんたんアクセス解析」は、ホームページ・ビルダーの画面の中で一貫して、アクセス解析の準備から解析結果の確認、結果に応じた修正までを行える機能だ。アクセス解析にはWebビーコン方式を採用、JavaScriptのトラッキングコードを簡単に埋め込めるので、プロバイダーを選ばずにアクセス解析が行えるようにした。

 SEO用語には専門用語が多いが、「アクセス状況」「訪問者数」など平易な言葉を使い、ページ別・日別の推移などのアクセス状況もグラフで分かりやすく表示。さらに、各項目をどのように見たらよいのかといったポイントや、集客を増やすための修正アドバイスなどを適宜表示。誰にでも分かりやすく、使いやすいツールを目指したという。「毎日アクセス解析を見てほしい。集客には、数字を見ながら毎日少しずつ修正していくことが大切かつ一番効く」(佐藤氏)

Webブラウザからでも、ホームページ・ビルダーからでもアクセス解析ができる(画面はホームページ・ビルダーから)。アクセス数がバブルの大きさで示されるなど、分かりやすい表示が特徴

 SEO対策支援機能としては、ページのタイトルやメタ情報の説明、sitemap.xmlを設定しているかといった「SEO設定チェック」や、検索エンジンスパムとペナルティ判定されるリスクを検出する機能を追加している。また、ケータイ向けサイトのSEO対策として、Googleモバイルサイトマップを作成する機能を搭載した※。このほか前バージョンに続き、作ったサイトへの集客手段として、Yahoo!リスティング広告やGoogle AdWordsで利用できる検索連動広告クーポンを各5000円分ずつ、計1万円分添付するサービスも引き続き提供する。

※PC用にはXMLサイトマップを作成する機能がある。

 このほか、静止画を組み合わせてFlash形式のスライドショーを簡単に作成できる「Flashタイトル」、iPhoneやiPad向けにはFlashを使わずJavaScriptライブラリのjQueryを使ったスライドショーを作成できる機能、ツイートする内容の初期文字列を設定してTwitterのボタンを設置できるTwitter連携機能などを搭載。ユーザーが求める“イマドキのサイト”作りを可能にしている。

Flashタイトル(左)と、iPhone/iPadタイトル(右)

メインターゲットはビジネスユース層

 ホームページ・ビルダーは、ホームページ作成ソフトの中では80%以上と圧倒的なシェアを誇る。利用者を見ると、ビジネスユースが52%で、パーソナルユースを上回っている。「ビジネスユーザーは5年で倍増した。ホームページビルダーの販売本数は前年比115%。(ジャストシステムが販売するようになった)4年間、毎年販売本数は増えている。経済状況が厳しいからこそ、商店や中小企業でホームページ内製の需要が増えているためと見ている」(ジャストシステム社長 福良伴昭氏)

 同社では、中小企業のサイト内製ニーズのほか、ネットショップ開設のニーズが増えていると見ている。「ホームページを作成するだけでなく、運用も支援していく。Webベースのサービス運用支援は、ジャストシステムの強みを生かせる分野」(福良氏)

ホームページ・ビルダーは毎年販売本数が増えている(左)。ビジネスユーザーが伸びているのは、会社や店舗のWebサイトを内製したいというニーズが多いためと説明。とくに建築業の中小企業、個人のECショップなどが多いという(右)

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