進化するアナログ文具、トレンドは検索ノートとスマホ連携ISOT 2013

ISOTに出展された数々の文具の中から、ビジネスパーソンに役立つ「検索性の高いノート」と「スマホ連携文具」をご紹介しよう。

» 2013年07月22日 11時00分 公開
[舘神龍彦,Business Media 誠]

 6月26〜28日にかけてISOT(国際文具・紙製品展) 2013が開催された。ISOTは、問屋や小売店の買い付け担当者とメーカーが仕入れの商談をするための見本市。新製品や注目のアイテムも多数登場する。

 本記事では、ISOTに出展された数々の文具の中から、ビジネスパーソンに役立つ「検索性の高いノート」と「スマホ連携文具」をご紹介しよう。

複数項目の情報管理に対応、検索性も向上

 各社から登場しているノートのトレンドは「検索性の向上」だ。

 ノート市場では昨今、複数項目にわたる情報の管理や検索のしやすさに配慮した製品が登場し始めている。これはアナログな記録手段であるノートにデジタル的な使い勝手が求められていることの表れとも言えそうだ。ノートは時系列で一種類の情報を記録するのには向いているが、複数項目の情報管理や検索機能はデジタルツールが得意とするところで紙のノートの苦手分野だった。しかし、こうしたデジタルツールの便利さを多くのユーザーが経験している現在、アナログツールにもそういった特徴が求められていることから、文具メーカーの対応が進んできたのだろう。

 複数の情報を1冊で管理するのに便利なルーズリーフは、ISOTでもさまざまな製品が展示されていた。文具大賞(機能部門 グランプリ)を受賞したマルマンの「ルーズリーフパッド&ホルダー セプトクルール」は、天のりでパット状に綴じたルーズリーフとホルダーを組み合わせた文具。閉じ込むためのバインダーとルーズリーフを分けることで、ルーズリーフを持ち歩きやすくしている。

Photo マルマンの「ルーズリーフパッド&ホルダー セプトクルール」。バインダーへの綴じ込みは家でするというように割り切り、ルーズリーフとホルダーのみを持ち歩いて使えるようにした。

 LIHIT LAB.は、バインダーのリング部分から開閉用の機構を取り去り、ノート部分を引っ張ることで開閉できる「ツイストリング・ノート」を出展。リングが小さくかさばらないので持ち歩きやすいのが特徴だ。また、ツイストリング・ノートは、エレコムが提供する無料のスマホ/文具連係アプリ「SMAFO BUNGU - with」とのコラボレーションにより、デジタルデータ化にも対応している。

※ツイストリング・ノートは、コクヨやマルマンなど、日本で普及しているルーズリーフタイプの製品とは互換性がない

Photo リング部から開閉用の機構を取り去ることで、軽量化を図ったLIHIT LAB.のツイストリング・ノート

 普通の無線綴じノートで複数情報の管理をしやすくし、検索性を高めているのがインデックス部分に工夫をこらした文具だ。

 「ウロコノート」(マークス)は、ページの上端部分に、折り返して使う見出しを4つ装備したノート。この製品は、文具大賞 デザイン部門のグランプリを受賞している。

Photo 「ウロコノート」(マークス)。マークス製品は昨年につづき文具大賞を連続受賞した

 「インデックスノート」(キングジム)は、ノートの小口部分にインデックスが用意され、ここを切り取ることで、そのページに何が書かれているのかが分かるようになっている。

Photo 「インデックスノート」(キングジム)。ページの端部分にカット可能なインデックスがある

 複数項目の情報を1冊で管理するノートの先行例としては、コクヨS&Tの「エッジタイトル」がある。構造としては普通のノートながら、ページの端部分に縦長の5つの記入欄を備えており、ここに項目名を記入し分類して使う。

 今回のISOTには出展していなかったが、文具王として知られる高畑正幸氏も、検索性に優れたノート「AccessNoteBook@bungu_o」(デザイン:文具王 製造:フジカ)を開発している。

Photo AccessNoteBook@bungu_o。インデックス部分、本文、サイズなど、随所に工夫をこらしている

目的も用途も広がるスマホ連携文具

 スマホ連携文具は、キングジムの「ショットノート」が有名だが、タイプも目的も異なる製品が登場しつつある。

 「ピコットフセン」(カンミ堂)もその1つ。QRコードが印刷されたフセンで、QRコードとスマートフォン内部の写真をひもづけることができる。QRコードを専用アプリで読むと、写真が呼び出される仕組みだ。同社では、これを日記やレシピ、各種情報、モノの整理に活用することを提案していた。

Photo 「ピコットフセン」(カンミ堂)。QRコードにスマホ内の写真をひもづけられる

 「ホワイトマグネットシート」(LIHIT LAB.)は、丸めて持ち運べるホワイトボード。A0、A1、A2の3種のサイズで展開している。この製品はエレコムのスマホ/文具連係アプリ「SMAFO BUNGU - with」(「スマート文具活用をもう一度考える」記事参照)に対応しており、ホワイトボードに書いたデータをデジタルデータ化することが可能。ボードの四隅に専用の撮影用マーカーを配置すれば、専用アプリで容易にデジタル化できる。この種の先行例としては、「キャミアップ」(コクヨS&T)のアプリに対応した「ディスカッションマット」(コクヨファニチャー)などがある。

Photo 「ホワイトマグネットシート」(リヒトラボ)。四隅のマーカーで角を検知し、アプリ側で撮影時の歪みを修整する

 「sencys2」(プラチナ万年筆)のような製品も登場している。これは、スマートフォン/タブレット用のスタイラスペン。先端をブラシ形状にし、有機導電繊維を使うことで反応を高め、ソフトな書き心地を実現した。ブラシ部の反対側にはマーカーペンがついており、普段は普通のペンとして利用可能だ。想定ユーザーは、指の操作が不安な人や爪の長い女性などとしている。

Photo 「sencys2」(プラチナ万年筆)。先端部が筆状になっている珍しいスタイラスだ

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