なぜか低い残業代のカラクリずっと「安月給」の人の思考法(2/3 ページ)

» 2013年07月25日 11時00分 公開
[木暮太一,Business Media 誠]

「時間外手当」にだまされないで

『ずっと「安月給」の人の思考法』(アスコム)

 世の中には基本給が低くても、いろいろな手当てが付いている会社があります。住宅手当や家族手当、中には子女教育手当というような古めかしい表現の手当もあります。

 多くの企業は「うちは給料は高くないけれど、その分手当を厚くして労働者を守っている。従業員にとっても手取りの金額は同じだから問題ない」と主張しているかもしれません。

 労働者から見ても手当は「もらえるに越したことはない」ですし、トータルで金額が同じであれば、それが「基本給」だろうと「手当」だろうと同じと考える人がほとんどでしょう。

 しかし、「同じ」ではありません。このような「労働者の個別の事情に応じて金額が変わる手当」は残業代を計算する際に省いて考えられます。同じお金でも、それが「手当」であれば、残業代の単価は低くなってしまうのです。

 Aさんとあなたで同じだけ残業をしたのに、残業代が違っていたのはこういうことだったのです。

 さらに要注意の単語があります。それは「役職時間外手当」や「職能時間外手当」など「○○時間外手当」という記載です。

 要するに、残業代を「手当」として先払いしているのです。例えば、月間40時間分の残業代を先に支払います、というイメージです。「先払いしてくれているなんて、とてもいい会社だ!」なんて思ってはいけません。会社側の真意はともかく、残業代がすでに支払われているので、その40時間分の残業は織り込み済みなのです。つまり、本当の給料はもっと安かったのです。

 「役職手当」は役職に就いたために支給される手当ですが、「役職時間外手当」は役職に就いている人の残業代を前払いで支払っていることになります。そして、前払いしているので当然その分の残業代は追加ではもらえません。

 このように手当として残業代が先払いされていると、見せかけの「額面」が増えます。しかし当然ながら実際に残業したときの給料は少なくなります。

 仮に残業をしなければ「得」をすることになりますが、おそらくそういうことはないでしょう。前払いの残業代を「手当」として支給されていないか、会社からゴマかされていないか、給料明細を見れば分かります。

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