体育会系の人間はもう要らない!? 夏野剛氏に聞く、グローバル時代に必要な教育企業家に聞く【夏野剛氏】(2/3 ページ)

» 2014年01月14日 12時00分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]

「自分のやりたいこと」と正面から向き合う

まつもと: それはやはりモンテッソーリ教育のように、幼少期から始めたほうが望ましいのでしょうか?

夏野氏: もちろん。さまざまな年代と交わり、多様な価値観が当たり前だということを会得するには早ければ早いほうがいいでしょう。

まつもと: 体育会系のサークル出身だと、先輩後輩との向き合い方がしっかりしているので、就職に有利といった伝説もあったりします。それと通じるものがあるのでしょうか?

夏野氏

夏野氏: それは逆。上級生が絶対的に上、というのは階層社会だからモンテッソーリとは相容れないものですね。そういう意味でいうと体育会系の人間が有利という説は、もはや時代に即さないと思っています。

まつもと なるほど、多様な年代が交わるだけでは必要な条件を満たしているわけではない、ということですね。おそらくこの記事の読者はどうしたら自分の子どもにそういった教育を受けさせることができるのか、というのも気になるはずです。

夏野氏: うちの子どもたちが通っているところもそうだけど、最近の私立の幼稚園や小学校ではモンテッソーリと明確にうたわないまでも、そういった方向性の教育方針の採用が進んでいると思います。特にキリスト教系に多い印象はありますね。あとは私設の保育園など。ニューヨークのドルトンスクール日本校なんかが有名です。私立の小学校では上級生と新入生をペアにして、交流の機会を頻繁に設けています。

まつもと: 義務教育でも取り入れられるといいですね。

夏野氏: なかなか現状では難しいだろうね。何か問題があったときに、「どっちのクラス担任の責任になるのか」とか、そういうところにこだわって前に進まないのが容易に想像できます。でも、もう僕の周りでも、そういう傾向が敬遠されて私立の学校を選択している親御さんが増えています。

 実際、公立小学校の定員割れが現実に起こっていて、区によっては1学年10人くらいという例もあります。まあ過疎地の小学校は、必然的に上級生と下級生が一緒に学ぶモンテッソーリ状態になっているので、そちらに向かうかもしれませんが(笑)。

 この考え方を一歩進めて、地域のお年寄りと小学生が同じ場所で過ごすような機会が増えるといいなと思っています。例えば、小学生がタブレットの使い方をお年寄りに教えてあげたり、逆にお年寄りが地元の昔話を彼らに話してあげたりなど。地域でペアができる、そんなイメージです。それも社会学習として単位に組み入れたらいいんじゃないかと思います。

まつもと: 今日はSFC招聘(しょうへい)教授としての夏野さんにお話を伺っていますが、ドワンゴの中も「多様性」に富んでいる印象があります。実際どうですか?

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