「仕事がない」と嘆く若者と人手不足――同時に起きるワケを考えてみた村上福之の誠にデジタルな話

世の中には仕事を探している若者がたくさんいる。仕事がないから「貧困化」なんて言葉もささやかれている。それなのに人手が足りなくて閉店しているところもたくさんある。何が起きているのか、その問題を考えてみた。

» 2014年11月19日 08時00分 公開
誠ブログ

 最近世の中の若者は、「頭が良くて理解力があって我慢強くてスキルのある人」と「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな人」の両極端に分かれてきているように思います。

 そして、大量にいる後者に仕事がなくて、貧困に陥っています。これをどう支援すればいいのでしょうか?

 なぜそのような人たちが生み出されてしまったのか。教育、企業研修、親、少子化、あるいはゆとり教育が悪いのか――どれが原因かは分かりません。

 彼らの望む「自分らしさ」「高収入」「やりがい」「将来性」「時間的ゆとり」をすべて満たせて、彼らの能力で遂行できる業務が地球上に存在するのだろうかと疑問に思います。

 それとも今後、「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」が「自分らしさ」「高収入」「やりがい」「将来性」「時間的ゆとり」をすべて満たす仕事が誕生するのでしょうか?

 そんな「しあわせの青い鳥」なんて、なかなか見つからないように思います。

人手不足なのに仕事が「ない」謎の正体

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 残念ながら、長い長い不況と人手不足で一人当たりの勤務時間が増え、労働環境が悪くなりました。さらに、人口が減り、少子高齢化なのに、若者は前述のように二極化してきました。

 しかも、テクノロジーの進化により、業務内容も「超高度なスキルの求められる仕事」か「単純作業」に二極化していったように思います。

 要するに、5%のとても頭のいい人の高度な“上流業務”と、それ以外の95%の人たちによる“下流業務”で世界が成り立つようになってきたのです。例えていうなら、マクドナルドの本社で働いているわずかな人と、大量のアルバイトの人、または、東京・目黒のAmazonで戦略を考える僅かな人と、千葉や堺市にあるAmazonの物流倉庫で働く何千人もの人のようなものでもあります。

 「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」がマクドナルドの本社や、Amazonの本社で働くのは難しいことでしょう。しかし、彼らは、マクドナルドのアルバイトや、Amazonの倉庫では働きたくないと思っています。そうすると――当たり前といえば当たり前なのですが――これにより、人手不足が生じてきます。

 ますます、「自分らしさ」「高収入」「やりがい」「時間的ゆとり」を「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」が感じられる環境は少なくなってきました。

 一方で、自分が若いときよりも256倍以上優秀な「頭が良くて理解力があって我慢強くてスキルがある若者」は仕事に困ることはないでしょう。

日本人は“みな”勤勉で真面目?

 もう「日本人はみな、勤勉で真面目だ」というのは過去の話だと思います。

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 例を3つ挙げてみます。

 コンビニや牛丼チェーン店などで人手不足だという話をよく聞きます。応募が来なかったり、応募に来ても我慢できなさそうな人が多いという話を聞きます。外国人留学生の方がはるかに真面目で仕事を覚えるのが早かったりすることも多いです。そもそも、コンビニの面接ができる程度の日本語が出来る時点で、2カ国語が使えるほどの地頭があるので、そのへんの日本人より基礎能力が高いことも多いです。

 プログラミングを覚えるのは、最初は意外と我慢の連続です。だれでもパチパチとコーディングできるわけでもありません。最初は設定や環境構築や基本操作やプログラミング言語の文法を覚えたり、フレームワークやAPIの使い方を覚えたり、エラーとバグに悩まされることばかりです。我慢できなくて、途中ですぐやめてしまう人がものすごく多いようです。

 Webメディアの編集で人を募集しても、そもそも日本語をまともに使えない人がたくさん応募してきたりするわけです。それをゆっくり育てていくのがいいのか、彼を見切って自分でやってしまうのかはバクチです。スピードの早いWebメディアの世界ですから、彼らがいつやめるかも分かりませんし、育てている自分もいつやめるか分かりません。

 このように、昔と違って今の日本人は我慢できず、すぐにあきらめ、真面目さも足りなくなってきているのです。そのため、我慢強さの求められる職種では人手不足に悩まされています。

 どこのIT企業でもエンジニアが足りない足りないといいますが、世のエンジニアには使える人がいないわけです。残念ながら。昨今はフルスタックナントカで、さらに高度な人材を求められています。

 そんなわけで、人手不足を解消する方法や人を教育する手段がないのかなーと思っています。

 昔と違い、企業研修をきっちりやる会社が比較的減ってきたからなのかもしれませんが、「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」を教育して、人手不足を解消する手段はないものかと、ない知恵を絞っているところです。

※この記事は、誠ブログ[雑記]貧困と人手不足と若者に仕事が無い問題を思うより転載、編集しています。

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