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» 2014年12月09日 05時00分 UPDATE

ストップ! 解雇トラブル:「解雇予告除外認定」をスムーズに受けるためには?

社員に問題があり解雇する場合でも、手順を踏めば「解雇予告除外認定申請」がすんなり受理されるとは限りません。必要な書類を準備し無用なトラブルを避けられるようにしておきましょう。

[企業実務]

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 本記事は企業実務のコンテンツ「事務ごよみ」から一部抜粋・編集して掲載しています。


「解雇予告除外認定」の手続きをする際の手順

 前回の記事では「解雇予告除外認定」を受けられるケースについて解説しましたが、今回は「解雇予告除外認定」の手続きの流れについて見ていきましょう(図表3参照)。ここでは、「労働者の責に帰すべき事由がある場合」を想定し、5つのステップで解説します。

図 解雇予告除外認定の手続きの流れ(図表3)

ステップ1

 解雇事由に相当するようなことが発生したときは、まず最初に、解雇という手段を取るべきかどうかを懲戒委員会などで検討し、検討内容を議事録として記録に残すようにしてください。

 これと並行して、解雇事由に相当する事実があったことを社員本人が認めていることが客観的に分かる書類を作成しておきましょう。例えば、社員本人の自筆による「経緯書」「始末書」「顛末書」などです。

ステップ2

 解雇事由が、先の「認定基準」(行政機関が例示するケース)に当てはまるかどうかを確認したうえで、「解雇予告除外認定申請書」を作成します(図表4参照)。

 通常、経緯の詳細については別紙で作成し添付しますが、その際、[ステップ1]で本人に書かせた経緯書なども参考資料として添付します。

図 解雇予告除外認定申請書記入例(図表4)

ステップ3

 解雇する社員が勤務している事業所を管轄する労働基準監督署(以下「労基署」といいます)に「解雇予告除外認定申請書」を提出します。

 その際、窓口で先の認定基準に当てはまるかが確認され、当てはまらないと判断されて受理されないこともあります。例えば出勤不良の場合、「2週間以上の正当な理由なき欠勤」に加えて「出勤督促がなされていること」が、解雇予告除外認定の要件とされています。したがって、2週間以上無断欠勤をしている社員がいたとしても、会社が出勤督促をまったくしていない場合や、本人が所在不明で出勤督促が伝わらない状況である場合は、要件に当てはまらないと判断され、受理されないこととなります。

ステップ4

 労基署から事実認定のため、社員に対して聞き取り調査が行われます。通常は電話で事実関係の確認をしますが、電話でのやりとりができない場合は、聞き取り調査に応じることを求める文書が社員に送付されます。

 この際、社員が事実を認めた場合には、「解雇予告除外認定」がなされますが、事実を認めていない場合は認定されません。

 社員が、労基署からの再三の出頭要請にも応じず事情聴取を行なうことができない場合は、会社から提出された「経緯の詳細」と、本人が事実関係を認めていることが読み取れるもの(自筆の「経緯書」など)、そして、会社からの聞き取りで確認ができた事実関係を総合的に判断したうえで「解雇予告除外認定」を出すかどうかの決定がなされます。

ステップ5

 「解雇予告除外認定」が労基署から決定通知されます。社員の事情聴取がすぐにでき、事実関係の確認が取れた場合は最短で1週間程度、社員との接触がなかなかできずに出頭要請などをしている場合は2〜3週間程度で決定がなされます。

 社員が事実関係を否認し、裁判で争うとの主張を曲げない場合、裁判所での判決が出るまで労基署は「解雇予告除外認定」を出すことはできません。そのような場合、実務上は申請を取り下げ、通常の30日前の予告をして社員を解雇するケースがほとんどです。


 次回は「解雇予告除外認定」申請を行う際の注意点について解説します。

著者プロフィール:井寄奈美(いより なみ)

特定社会保険労務士。著書に『トラブルにならない「会社に有利な」ルールの作り方』『トラブルにならない社員の正しい辞めさせ方』(いずれも日本実業出版社)などがある。著者オフィシャルサイト


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