時代とともに総務の仕事は変化していますが、一方で変わらない原理原則もあります。本連載では、総務担当者に必須の知識や仕事の進め方を12回にわたり紹介します。
「企業実務」は、経理・総務・人事部門の抱える課題を解決する月刊誌。仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確に、わかりやすく、タイムリーにお届けします。1962年の創刊以来、理論より実践を重んじ、“すぐに役立つ専門誌”として事務部門の業務を全面的にバックアップ。定期購読はこちら。
本記事は企業実務のコンテンツ「疑問、悩みを解消! 新人・若手担当者のための総務の仕事術」から一部抜粋・編集して掲載しています。
実際のところ、総務の仕事とはどのようなものでしょうか。
「総務の仕事」をキーワードにインターネット上で検索してみると、さまざまな分類で仕事が分けられています。ここでは、中央職業能力開発協会(以下、「協会」といいます)の職業能力評価基準に基づいて分類することにします。
なぜなら、協会のホームページに公開されている職業能力評価基準には、職業人として必要な全職種共通の能力ユニットと、総務職として必要な職務能力ユニット、そして各職務を遂行するための基準、そのために必要な知識が表示されているからです。
この評価基準が総務職としての「キャリアパス」、つまり読者の皆さんが総務のプロとしてキャリアを積んでいきたいと考えたときに、最終的に目指すべきゴールまでの道筋のモデルとなります。
協会の職業能力評価基準によると、総務の仕事は次の6つに分類されます。
経営戦略の仕事は、経営トップに対するサポート業務という側面をも っています。
会社という組織の中にあって、地味な管理的業務を担っている総務には、日常的にさまざまな生の情報が集まってきます。
たとえば、出張旅費の精算書には、営業担当者が「何を目的に、どこへ行き、誰と会い、どんな仕事をしてきたのか」が情報として書かれています。
また、給与計算に伴う勤怠事項のチェック作業は、社員の勤務状況を表わしていて、時間外勤務の多い部署などには、メンタルヘルス対策の必要性の有無の検討が求められます
総務は日頃からこうした情報を「経営情報」として考え、捉えることが重要です。
それにより、経営トップに対し、経営方針や経営計画の策定に有用な情報・資料を提供することが可能になります。
人事の仕事には、「人事制度の企画と運用」「社員の採用」「配置・異動」「賃金制度の立案と日常的な賃金の計算」「評価制度の企画・運用」などがあります。
社員の採用から退職まで、おおむね40余年にわたる時間を考慮した目線が求められますが、40余年ともなると、その間に時代は相当に変化していきます。
たとえば、賃金制度については、この40年で年功序列給から職業能力を評価する能力給や職能給へと移行しました。
そして、責任に見合った配分を目指す責任給や、一定の職務に対する給与の範囲を決めて支給するゾーン(範囲)給など、給与体系も変化しています。
つまり、人事の仕事そのものが、変化対応型の仕事なのです。
人材開発は、「わが社にとって必要な社員像」を具現化する仕事です。そのためには、必要な人材の育成方針を立て、これに基づいてOJTやoff-JT、自己啓発支援を行ないます。社内研修や社外研修などの計画、最近では社員のキャリアプランの作成・支援も必要になっています。
また、一部には、うつ病で休職を余儀なくされる社員が増えている状況もあります。社員のメンタルヘルスに関する対策が必要になったことも、人材開発の面から見逃せない環境の変化です。
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