連載
» 2015年01月15日 05時00分 UPDATE

CRMの基本:ICTの進展で高まるCRMの重要性 (1/2)

1990年代以降、IT環境の急速な進化で、消費者は自ら情報を得られる時代になりました。企業はこうした変化に対応した顧客との関係をつくっていく必要に迫られています。

[坂本雅志,Business Media 誠]

連載「CRMの基本」について

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本連載は、坂本雅志著、書籍『この1冊ですべてわかる CRMの基本』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

GoogleやAmazonなどの有名企業が一番重視しているのがCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)です。

CRMは「企業と顧客の長期的かつ良好な関係を構築する手法・戦略」ですが、ここ数年でCRMを取り巻く環境は激変しています。

ポイントカードや会員プログラムだけでなく、Amazonのレコメンド機能やGoogleの行動ターゲティング広告、携帯電話会社の割引施策まで、その範囲は多岐にわたります。

直近の動向・トレンドを踏まえ、CRMの必須知識や導入のポイントを解説した1冊です。


CRMが重視される3つの要因

 「識別した既存の顧客と密接な関係性を構築し、優良顧客に育てていく」というCRMは、多くの企業が全社を挙げて取り組むべき重要課題です。このCRMが重視されるようになってきた背景としては、次のような要因が考えられます。

1. 市場の変化

 規制緩和や国際化の進展に伴って、多くの企業が市場獲得にしのぎを削っています。そうした環境の中で、「護送船団方式」で同じような商品を並べても、消費者は見向きもしない時代になりました。

 企業は、競合他社との差別化、顧客の囲い込みといった施策に注力する必要があります。

 市場に参入したばかりで、成長の著しい企業・ブランドの場合は、「市場獲得を目標にいかに供給を途絶えさせないか?」に注力しますが、成長の踊り場を迎え、成熟期や衰退期に入ると、「既存顧客をいかに守るか?」が重要になります。自社の商品に磨きをかけるとともに、顧客との関係性にもよりいっそう気を配らなければなりません。

 一方で、さまざまなサービスにおいて、競合他社がすぐに現われ、先行優位のタイムスパンが短くなっています。導入期や成長期の段階から、新規に獲得した顧客との関係を重要視し、維持する方策をとらなければ生き残れない時代になっているのです。

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2. 顧客の影響力の変化

 顧客と企業の関係は、年を経るごとにどんどん変化しています。かつては、一方的な企業からの情報開示だったので、顧客はそれをうのみにしながら消費活動を行ってきました。

 しかし、1960年代から70年代にかけて、消費者は度重なる企業側の不誠実な対応に対し、消費者運動を自発的に働きかけました。その結果、消費者保護基本法などの法整備を経て、消費者を守る動きが活発になります。消費者庁の設立も記憶に新しいところです。

 こうした動きに呼応するように、企業内にも「お客様相談室」などのカスタマーサービス部門が設置されるようになりました。

 1990年前後から2000年代にかけては、企業の公式サイトの開設や、Eメールによるお客様相談窓口の開始、フリーダイヤルの導入が相次ぎ、コールセンター市場が急拡大しました。

 現代では、インターネットの普及により、顧客が入手できる情報量が格段に増えました。競合商品との比較も容易になり、顧客間での情報交換も頻繁に行われています。知識や情報を豊富に持つ顧客を相手に、企業は完全にガラス張りの状態になり、企業主導の一方通行でのコミュニケーションは成立しなくなりました。

3. 顧客のニーズの多様化

 現代社会における消費者は、さまざまな商品の中から思いのままに好きなものを選択することができます。

 商品の選択の幅が広がる一方で、マス広告よりも友人や知人の口コミを信頼するようになりました。そして実際に気に入れば、共有(シェア)することが当たり前のようになっています。

 企業に対して自分の要望をはっきりと伝え、必要があればSNSを通じて意見を表明するケースが増えているのです。

 ライフスタイルの変化に伴って、多様化する顧客のニーズをいかに捉えていくか、顧客をつなぎ止められるかが極めて重要になってきています。「顧客参加型の商品開発」も普及して、顧客との価値の共創がどんどん進んでいます。

 こうした顧客がターゲットになる現代の企業は、より深い顧客への理解とともに、顧客を維持、拡大していくための努力を積み重ねる必要があります。

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