ハンカチ王子はこのまま“終焉”を迎えるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2015年08月06日 08時05分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 これがラストチャンスという気構えでいてほしい。日本ハム・斎藤佑樹投手に対して切にそう思う。中継ぎへの配置転換を経て再び先発として一軍に呼び戻され、8日の楽天戦(札幌ドーム)のマウンドに立つことが濃厚となったからだ。

 この「8・8」は奇しくも斎藤の母校・早稲田実業が甲子園球場で行われる全国高校野球選手権大会の1回戦に臨む日。“スーパー1年生”として大きな話題を集めている清宮幸太郎内野手を擁する早実(西東京)の初陣と同校OB・斎藤の登板日が重なったことで、メディアの中にはこの日を「早実デー」と銘打つなどして注目する向きもある。しかしまだ高校1年生で今後の飛躍に期待がかかる清宮に対し、一方の斎藤はもう後がない。だからこそ冒頭の言葉しか頭に浮かんでこないのである。

 斎藤は今季でプロ5年目。ルーキーイヤーの2011年に6勝(防御率2.69)をマークしたのがマックスで12年は5勝(同3.98)、13年は0勝(同13.50)、14年は1勝(同4.85)、そして今季はここまで0勝(同9.00)と特に近年はまったく戦力になっていない。9年前の全国高校野球選手権大会決勝戦で早実のエースとして駒大苫小牧・田中将大(現ヤンキース)との投げ合いを制し「ハンカチ王子」のネーミングを授けられて国民的な人気者になったのも、今の若い人たちには余りピンと来ないような古い話になりつつある。

 筆者は当コラムで昨年12月に「“ハンカチ王子”斎藤佑樹の人気はなぜ凋落したのか」という記事を書いた。この記事の中でも触れたが、まだ現段階でも斎藤に対して断崖絶壁の立ち位置から「何かをやってくれる」ことを密かに期待し続けてはいる。しかし今、彼が置かれている立場は断崖絶壁から落ちかかって片腕一本で崖に手をかけているような状況だ。もう正直言って猶予はない。現場を預かる栗山英樹監督も、それはよく分かっているはずだ。

斎藤佑樹投手の年度別成績(出典:北海道日本ハムファイターズ)
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