ちかぢか48歳。ゴン中山は“奇跡”を起こせるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/3 ページ)

» 2015年09月10日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 奇跡は起こせるのか。47歳の元日本代表FW・中山雅史氏が現役復帰に向けて動き出した。2012年12月に引退会見を開いたが、その席上では最後まで「引退」の二文字は口にせず、思うように動かなくなった両ひざを含めてコンディションが再び上向きになれば復帰を目指すことを示唆していた。それでもこの時点で中山氏の言葉を真に受ける人はほとんどおらず、単なるリップサービスであろうとする見方が大半であった。しかし、それから2年9カ月後。中山氏は有言実行の強い意思を見せた。

 9月5日、JFLアスルクラロ沼津のチーム練習に参加。同月23日で48歳になる中山氏は年齢を感じさせない軽快なパスワークやトラップを見せ、周囲を驚かせた。引退会見後はタレントや解説者として各方面からお呼びがかかり、活躍する多忙な日々。それだけにコンディション作りに励む時間を見つけるのは到底困難なはずで、現役復帰はとっくにあきらめているのかと思われていた。ところが、その間に中山氏は忙しい合間を縫って水面下で個人トレーナーを雇い、入念なプログラミングを立てて身体を再び鍛えながら復帰の道を模索していた。

 そんなひたむきな姿勢が認められ、現在同クラブの会長を務め、ジュビロ磐田時代の恩師でもある山本昌邦氏からチーム練習参加の声がかかった。近々にも山本氏ら同クラブ幹部は中山氏の現役復帰と正式獲得に向け、調整や交渉を行っていく方針だという。

 四捨五入すれば50歳になろうかという元サッカー選手が3年近くのブランクを経て再びプロのピッチに立つことは確かに容易ではない。もちろん賛否両論あると思うが、この超大ベテランの復帰が日本サッカー界にいい風を吹き込んでくれると信じている。中山氏は、いい意味でとてもドロ臭く熱い人だからだ。

 テレビでもすっかりお馴染みとなっている喝舌のいいトークや解説を見る限りにおいては、何となくノリがいい人という程度の印象しかないかもしれない。しかしサッカープレーヤーとしての中山氏は13年間の現役生活(実業団時代のヤマハ発動機=ジュビロ磐田の前身チーム)において猪突猛進するような熱いプレーで数々の輝かしい経歴を築き上げ、多くのサポーターたちから絶大な支持を得てきた。

3年近くのブランクを経て再び……
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