アリさんマークの引越社が「恫喝映像」をネットに流されてしまった理由スピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2015年10月13日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「挑発」にのってしまったアリさんマークの引越社

 もちろん、合同労組側が怒りの沸点が低そうな幹部社員に狙いをつけてわざと足を踏んづけて、意図的に「恫喝場面」をつくりだした、などと主張するつもりはない。狙ってはいないものの、なにかしらの「衝突」や「引越社側の暴言」を期待してカメラをまわしていた部分がある、ということが言いたいのだ。

 特設ページには、これまでの引越社との激しい戦いの記録がつづられている。興味のある方はぜひ一読していただきたいのだが、その中にこんなくだりがある。

 さらに、あろうことか、株式会社引越社(名古屋)では、会社が手なずけた人を使って「組合員を組合から脱退させたら1人10万円払う」として、数人を組合から脱退させる、という許し難い不当労働行為を行いました(東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立て中)。しかし、加入者は途切れません。この間、在職者と元支店長、管理職が相次いで加入しています。そんななかで、会社は、「司法の判断を仰ぐ」として、団体交渉では問題を解決しない、と宣言しました。

 つまり、引越社としては合同労組側と全面対決姿勢を打ち出しており、交渉も拒否、「次は法廷で会おう」という対応をしていたわけだ。そんな「敵」がお昼休みに街宣車でやって来て、拡声器で社名を連呼して、シュプレヒコールを行えば、「どのツラさげてきたんじゃ、ワレェ!」と怒鳴りこんでくるのは容易に想像できる。

 ただ、だからといってプレカリアートユニオン側の「挑発」にのってしまった引越社が気の毒だとかは思えない。

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