「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由窪田順生の時事日想(1/4 ページ)

» 2015年02月10日 08時00分 公開
[窪田順生Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


40年来の歴史があるCCFL

 ちょっと前、CCFL(冷陰極管)の照明を作っていらっしゃる方たちとお話をする機会があった。

 なんじゃそりゃと思う人も多いかもしれないが、「冷陰極管」とはボールペンの芯のように細くて軽いガラス管を用いた照明で、液晶モニターのバックライトをはじめ多くの産業機器に採用されている技術で40年来の歴史がある。

 それだけの蓄積のある技術なので当然、さまざまなイノベーションがなされ最近ではLED照明にも負けず劣らず省エネで低価格な「次世代照明」と呼ばれる製品まである。なにが次世代かというとLEDと比較して明らかに優位な部分もあるからだ。

 例えば、光の広がりだ。一方向に強い光を放つ発光ダイオードに比べると、CCFLはランプそのものが360度に光を放つためにムラのない明るさを生み出す。

 さらに、LEDに比べて低発熱だというのも特徴だ。昨年購入した国内大手メーカーのLED照明がわずか2カ月程度でつかなくなったことがある。メーカーの方にうかがったら、「精密機器なので熱で壊れることもある」と言われてなんだかモヤモヤしたものが残ったが、CCFLはそういう発熱による不具合も少ないらしい。

 そんなことを聞くと、みなさんは不思議に思うことだろう。「そんなにいいモノだったら、LED照明のようにもっと世の中にバンバン出回っているはずだろ、そうじゃないということはなにかしら問題があるのではないのか」と。

 そのあたりの疑問は、一般社団法人日本CCFL照明普及推進協議会のWebサイト(参照リンク)を見ると解消される。このなかには「なぜCCFLは実用照明として出てこなかったのですか?」という質問に対して、これまでCCFLがなかなか日の目があたらなかった背景を解説している。

(出典:日本CCFL照明普及推進協議会)
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