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» 2015年02月10日 08時00分 公開

「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由窪田順生の時事日想(3/4 ページ)

[窪田順生,Business Media 誠]

「JINS PC」がヒットした理由

 そう言っても、「ぶっちゃけ照明なんかどれも同じじゃん、有名メーカーので安けりゃいいよ」という人も多い。そんな状況のなかで「差別化」を図るのも難しいのではと思うかもしれないが、そんなことはない。「照明」のように目に見えて違いが分からないものだからこそ、「ストーリー」さえしっかりとつくれば、大きな成長を遂げることができるのだ。

 分かりやすいのが、累計300万本突破している「JINS PC」に代表されるブルーライト防止のメガネである。いまやメガネ以外にもディスプレイシートなども発売され、すっかり“ブルーライト市場”の代名詞になったこのメガネはJINSの創業者、田中仁社長が目の疲労を訴えた大学病院で、「ブルーライトのせいではないか」と言われたことがきっけだった。ブルーライトを遮れば負担を軽減できるのではという仮説の下、2010年夏に開発が始まり、その1年半後の2011年秋に発売。ブロガーなどのクチコミで一気に火がついた。

 「JINS PC」が世に出てほどなくした2012年5月、NHKをはじめとするマスコミが、これまで国内の医学界ではほとんど検証されてこなかったブルーライトの人体への影響を、眼科や精神神経科の医師たちが研究会を作って詳しく調べることになりました、なんてニュースを報じた。国民の多くは「やっぱそうか、どうりで目が疲れるわけだ」と大きくうなずいたものだ。

 そんな社会的意義のある研究の中心となったのは「ブルーライト研究会」。代表を務めるのは眼科学が専門で、数々の実績のある慶応義塾大学医学部の坪田一男教授である。

 そう聞くとピンとくる人も多い。坪田教授といえば2010年夏の開発スタート後の『日本経済新聞』(2012年10月14日)で報じられたように、JINSが発表した「産学連携による機能性眼鏡の開発」の連携相手である。保湿タンク付きのJINSモイスチャーの共同開発者としても知られる御仁だ。

 つまり、「JINS PC」が爆発的にヒットしたのは製品そのものの強さやクチコミによるところが大きいのは疑う余地はないが、一方で医学的見地からの「ブルーライトは目に悪いですよ」という援護射撃によるところも大きいというわけだ。

ブルーライトをカットする「JINS PC」は大ヒットした。(出典:ジェイアイエヌ)

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