「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由窪田順生の時事日想(4/4 ページ)

» 2015年02月10日 08時00分 公開
[窪田順生Business Media 誠]
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「ストーリー」がないと消費者には伝わりにくい

 「照明」という一般人には違いがよく分からないモノだからこそ、普及には「ストーリー」が必要になるというのは、「青い照明が自殺を防ぐ」キャンペーンからもうかがえる。

 田中社長がブルーライトメガネを閃(ひらめ)く少し前、青色の光が自殺対策になるという海外のデータを受けて、横浜市と私鉄3社が、ホームや踏切周辺に青色発光ダイオードの照明を取り付けるなんて報道があった。これはもともと2006年ごろにJR西日本が先駆的に始めたものだ。

 かなり効果がみられ、場所によっては飛び込みがゼロになったなんてケースもあるということでじわじわと全国に広がり、今やJR山手線や高速道路のインターなどにも続々と導入されている。ちなみに、そもそもこのように青色LEDの設置が進んだルーツには、スコットランドのグラスゴーで青色防犯灯を街頭に設置したら「犯罪が激減した」というデータをうけて、2005年に奈良県警が導入したことにある。

 つまり、「青い光」ひとつとっても、これだけの意味を我々は見い出しそれを普及に役立てているわけだ。

 CCFL照明も技術に素晴らしいものがあるのは分かるが、やはりなにか「ストーリー」がないと消費者には伝わりにくい。ましてや「省エネ」やら「エコ」という椅子にはすでに超大物の先客が座っている。

 消費者からすれば、猫も杓子もLEDという一強状態よりも選択肢が増えるほうがありがたいのは言うまでもないだろう。CCFLを用いた次世代照明をつくっている方たちにはぜひとも頑張っていただき、新しいカテゴリーを生み出してほしい。

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