なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?窪田順生の時事日想(1/4 ページ)

» 2015年01月27日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


朝の連続ドラマ『マッサン』効果で、ニッカウヰスキーの「竹鶴」が売れている

 NHKの朝の連続ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。

 創業者・竹鶴政孝が注目を集めるニッカウヰスキーなどは売り上げがなんと例年の3倍に。竹鶴氏の盟友であり、後にライバルとして登場している鳥井信治郎のサントリーも世界一の称号を得た「山崎」や「白州」の売れ行きがえらく好調なんだとか。

 ウイスキー好きとしては素直にうれしいこのブームだが、竹鶴氏らが「国産ウイスキー第一号」をつくった時代はサッパリ売れなかった。『マッサン』でもすでに描かれたが、ウイスキー独特のピート臭が、日本の大衆にはなかなか受け入れられなかったからだ。

 そんな一部の愛好家やら富裕層の嗜好品だったジャパニースウイスキーがここまでの市民権を得るまでには、竹鶴氏のような開発者のたゆまぬ努力があったことは言うまでもないが、日本独特の楽しみ方が編み出されたことも大きい。

 「水割り」だ。なんてことを言うと、ウイスキー通の方たちから「独特」という表現にクレームが入ることだろう。英国をはじめ海外のウイスキー愛好家もみんながみんなストレートでカパッとグラスを空けているわけではない。加水することでよりテイスティングしやすいとも言われ、古くから「ウイスキー&ウオーター」というメジャーな飲み方があるからだ。

 ただ、日本のように氷とミネラルウオーターのセットがテーブルにドサッと置かれて、トングで氷をグラス一杯に詰めて女の子に「あ、昨日飲み過ぎたから、今日は薄めでつくってね」なんて飲み方はない。そういう意味では「日本独特」と言ってもさしつかえはない。

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