連載
» 2015年11月05日 08時00分 UPDATE

新連載・世界を読み解くニュース・サロン:対中国だけではない? お金が欲しくて“魂”を売ったイギリス (1/4)

10月末、中国の習近平・国家主席が英国を訪問して大歓迎を受けた。英国は中国の人権問題を不問にして、カネになびいたと非難されたが、中国以外にも英国が骨抜きにされている国がある。それは……。

[山田敏弘,ITmedia]

世界を読み解くニュース・サロン:

 今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。

 欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。


yd_yamada1.jpg 英国は中国に屈したのか

 2015年10月末に、中国の習近平・国家主席が英国を訪問して大歓迎を受けた。エリザベス女王がバッキンガム宮殿で晩餐会を開き、デービッド・キャメロン首相はパブで一緒にビールを飲むなど、とにかく丁重に習国家主席を扱った。

 中国共産党にとっては、英国のエリザベス女王が黄金の馬車で出迎えて習近平をもてなした姿を人民に見せることができた時点で、大勝利だったに違いない。世界最強の大国である米国に最も近い同盟国が、成長著しい中国に屈したと見えるからだ。

 一方、世界中で、英国が中国の人権問題を不問にして、カネになびいたと非難する声も上がった。中国政府は、新疆ウイグル自治区やチベット自治区での弾圧や、人権派弁護士や活動家を拘束するなど、人権を軽視した独裁政治を続けている。英下院など英国内からも同様の批判は聞かれた。

 だが英政府はそんな意見に目をつぶり、現実的には中国にひれ伏したと言える。ただ両国の経済状況を見ればそれも当然かもしれない。英フィナンシャル・タイムズによれば、「前回中国の国家主席が英国に公式訪問した2005年、英経済は中国よりも大きかった。だが今年、中国のGDPは英国の約4倍の規模になるだろう」と指摘している。

 どう言われようが背に腹は変えられない。英政府は中国による莫大な投資を喉から手が出るほど欲しており、ジョージ・オズボーン財務相は「欧米における中国のベストパートナー」になりたいとラブコールを送っていた。そして今回、英中間で7兆円超の商談合意がなされた。

 こう見ると、中国がアジア投資銀行に対抗して2015年に設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、英国が欧米先進国を裏切る形で、誰よりも先に参加表明したのも理解できる。ただ実のところ、こうした英国のなりふり構わぬ動きは、今回の対中に限ったことではない。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ