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» 2015年11月20日 12時55分 UPDATE

宇宙ビジネスの新潮流:「なぜ今、宇宙に“張る”のか」 日本の著名投資家が語る (1/3)

米国の後を追うように、日本でも宇宙ビジネスに対する投資が盛り上がりつつある。ベンチャーキャピタリストや著名投資家はなぜ今積極的に投資するのだろうか。

[石田真康(A.T. カーニー),ITmedia]

10億単位の資金調達

 2015年に入り、日本の宇宙ベンチャーによる資金調達ニュースが増えてきた。2月にはスペースデブリ除去事業を目指すアストロスケール(CEO:岡田光信氏)が、日本最大のベンチャーキャピタル、ジャフコの運営する投資事業組合、および山岸広太郎氏、笠原健二氏など9人の著名投資家から、総額9億円の第三者割当増資によるシリーズA資金調達を完了した。

 また、9月には超小型衛星事業を行うアクセルスペース(代表取締役:中村友哉氏)が、グローバル・ブレインを含む6社のベンチャーキャピタルおよび三井物産、スカパーJSATからシリーズA投資として総額18億円を調達した。投資ではないが、10月には日本初の月面無人探査を目指すチームハクト(チームリーダー:袴田武史氏)は日本航空(JAL)とメガネブランド「Zoff」を運営するインターメスティックとコーポレートパートナー契約を発表。これでIHI、JIG-SAW、三越日本橋本店を含めてパートナーは計5社に上った。

 こうした資金調達の背景にある投資家の考えや思いはこれまであまり語られてこなかった。そうした中、10月26日に日本で開催された「SPACETIDE2015」で日本の名だたる投資家が登壇した。顔ぶれは、インキュベイトファンド 代表パートナーの赤浦徹氏、TomyK代表の鎌田富久氏、グリー共同創業者・取締役/投資家の山岸広太郎氏、グローバル・ブレイン ベンチャーパートナーの青木英剛氏だ。当日のパネルを振り返りつつ、その思いに迫りたい。

10月末に開催された「SPACETIDE2015」 10月末に開催された「SPACETIDE2015」

宇宙は日本の将来を支えるビジネスになる

 インキュベイトファンドの代表パートナーである赤浦氏はこれまで合計で280億円、11本のファンドを運営してきており、グループウェアのサイボウズ、クラウド名刺管理のSansan、オンラインゲームのAimingなどに投資している。宇宙領域ではロボットによる惑星探査や資源探査を目指すispaceに投資しているが、赤浦氏はその経緯を「人とチームに尽きる。創業者の袴田氏に出会って1時間で出資をお願いしていた」と語る。

 「宇宙も開発などのコストが下がり、ベンチャーの資本でもチャレンジできるようになった。高度経済成長期にエレクトロニクスや自動車に投資したように、宇宙は日本の経済を支えるビジネスになる」と赤浦氏は期待を寄せる。

 さらに、同氏は今後の産業発展のために「アポロが1969年に月面着陸してからの数十年間より、ここ数年の変化の方が早い。リスクを取れる環境の人が大きなお金を集めて、ベンチャーならではの意思決定の速さでチャレンジしている。大きな志、技術、ノウハウなどを持った人が民間宇宙ビジネスに入ってきてほしい」と呼びかけた。

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