ボーイング787の導入で何が変わったのか?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/3 ページ)

» 2016年01月06日 08時00分 公開
[秋本俊二ITmedia]

 日本から未就航だった都市へ、新しい路線の開設ラッシュが続いている。ANAは2015年9月に成田からマレーシア・クアラルンプールへの直行便を13年ぶりに復活。同年10月には旅行先としての人気が根強いベルギーのブリュッセルに、12月にはシドニーにも就航して16年ぶりに豪州に乗り入れた。これら新規路線の実現を支えてきたのが、ボーイングの最新鋭機787である。787の導入で、何が変わったのか?

ANAの成長戦略を支える“ドリームライナー” ANAの成長戦略を支える“ドリームライナー”

新素材の多用で燃費効率が20%アップ

 機体全重量の50%以上が「炭素繊維複合材」という新しい素材で作られた787。“ドリームライナー”の愛称を持つその1号機は、2011年9月にローンチカスタマーとしてANAが受領し、国内外の空で颯爽(さっそう)とデビューした。

 787は燃費効率の優れた飛行機で、同サイズの旧型機に比べて20%も燃費が改善されている。長距離国際線を運航する場合、多くの燃料を必要とするため、それまではどうしても大型機に頼らざるを得なかった。大型機での運航となると、一度にたくさんの乗客が利用する路線でなければビジネスとして成立しない。結果、パリやロンドン、ニューヨークなど、いわゆる“ドル箱”と呼ばれる路線にしか直行便を飛ばせなかったのである。

 そうした状況を、787は変えた。200〜250人程度の乗客数で長距離を飛ばしても、燃費が良くてコストを抑えられるから、ビジネスとして十分に成り立つ。日本から直接行ける都市がこの2、3年で急増したのも、787による功績が大きい。

従来の金属材料に代わり787はボディ構造の多くに炭素繊維複合材を採用 従来の金属材料に代わり787はボディ構造の多くに炭素繊維複合材を採用
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