東大寺学園高校卒業、京都大学文学部卒業。印刷会社営業職、デザイン事務所ディレクター、広告代理店プランナーなどを経て、2004年にコミュニケーション研究所の代表。ブログ:「だから問題はコミュニケーションにあるんだよ」
米国では今後5年間で、営業マンの22%、100万人が仕事を失う。そんな調査結果をForrester社が発表した。今後のコンテンツマーケティングの進行を前提にした話である。日本でもオウンドメディアを運営する企業が増えてきた。このトレンドの先に待っているのは、どんな世界だろうか。B2B企業の営業マンは、本当に要らなくなるのだろうか。
顧客訪問は週に3回まで、行くときには必ず何かおみやげ(=顧客に役立つ情報)を持っていくこと――。以前キーエンスを取材したときに、経営企画室長から伺った話である。
営業は顧客を訪ねてなんぼ、一年間に何足靴を履きつぶしたかで評価される。そんな従来型の根性営業セオリーとは真っ向から対立するのが、キーエンスの営業に対する考え方だ。
なぜ、キーエンスでは顧客訪問に縛りをかけるのか。単なる顔出しあいさつの営業訪問は、対応する顧客にとって純粋に時間泥棒にしかならないからだ。これに対して、顧客がその時に知りたかった情報を持ってきてくれるのなら、その訪問は顧客にとって価値ある時間となる。だからキーエンスの営業マンは、顧客訪問の前の準備に時間をかける。
いま顧客が抱えている問題は何か。その問題を解消するためには、どんなソリューションがあるか――。顧客が勝負している市場の動向を調べ、顧客の競合の動きをリサーチした上で顧客のところに出向く。事前準備に時間がかかる。
こうした努力をしているからキーエンスの営業マンは、顧客の生産ラインにまで招かれ、アドバイスを求められる。キーエンスの営業マンが一方的に話すのではない。顧客の相談に応えるのだ。これこそ本来の意味でのコンサルティング営業である。そうした会話を通じてキーエンスマンは、顕在化していない顧客の問題点を見ぬき、課題を解消する製品を開発する。このメカニズムが同社の異常な高収益率を生み出している。
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